工場・プラントの照度管理|JIS Z 9125の基準・測定・記録の実務

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

この記事でわかること

工場・プラント・倉庫などの産業現場では、「どの作業に、どれくらいの明るさ(照度)が必要か」を基準に沿って管理・記録することが、安全・品質・作業効率の土台になります。本記事では、屋内の照明基準を定める JIS Z 9125(屋内照明基準)JIS Z 9110(照明基準総則) の考え方をふまえ、照度管理の実務(基準の捉え方 → 測定 → 記録・点検 → 是正)を順を追って整理します。

設備・安全衛生・品質管理のご担当者が、「自社現場の照度が基準を満たしているかを確認し、記録として残したい」場面で活用できる内容です。

要点(先に結論):屋内作業場の照度は JIS Z 9125(屋内照明基準) が作業区分ごとの推奨照度や、均斉度・不快グレア(UGR)・演色性などの品質要件を示しています。照度管理は「①作業区分の棚卸しと目標設定 → ②校正された測定器での測定 → ③記録・台帳化と定期点検 → ④不適合時の是正」のサイクルで運用します。具体的な推奨照度の数値は作業内容により異なるため、JIS本文(JIS Z 9110:2024/JIS Z 9125:2023)をご確認ください。

照度管理とは ── 工場・産業現場でなぜ必要か

照度管理とは、現場の各エリア・作業に必要な明るさ(照度)を基準に照らして把握し、測定・記録・是正を継続的に行う取り組みです。産業現場で重要とされる理由は次のとおりです。

  • 安全:照度不足は見落とし・つまずき・操作ミスなど労働災害の要因になり得ます
  • 品質:検査・組立など視作業では、照度・グレア・演色性が品質判定に影響します
  • 作業効率・快適性:過不足のない照明は疲労軽減・生産性に関与するとされます

照度は「不足」だけでなく「過剰」もエネルギー・グレアの観点で課題になります。適正値に管理することが目的です。


JIS Z 9125・JIS Z 9110 が定める照度基準の考え方

日本の屋内照明の基準は、主に次の2規格で整理されます。

  • JIS Z 9110(照明基準総則):照明設計の総則的な基準。屋内外を含む各種空間・用途の推奨照度の考え方を示します(最新は2024年改正)。
  • JIS Z 9125(屋内照明基準):屋内作業場の照明基準。ISO 8995-1:2002 を基に日本の事情に合わせて修正(MOD)した規格で、作業区分ごとの推奨照度に加え、照度均斉度・不快グレア(UGR:Unified Glare Rating)・演色性などの品質要件を規定します(2023年改正版)。

維持照度(Em)という考え方

JIS では、使用期間中に下回らないよう維持すべき平均照度を「維持照度(Em)」として示します。新設時だけでなく、ランプの経年劣化や汚れによる低下を見込んだうえで「使い続ける間、最低限この明るさを保つ」という管理の基準になります。

2023年改正のポイント(JIS Z 9125)

JIS Z 9125:2023 は、従来(2007年版)に対し輝度に関する基準が新たに追加されました。これにより、規格が定める輝度等の条件を満たす場合に限り、一部のオフィス空間などで推奨照度の緩和が認められることがあるとされています。緩和の適用は自己判断せず、必ず規格本文の条件を確認してください。

照度以外の品質指標

照度(ルクス)だけでなく、次の指標も「見やすさ・快適性」を左右します。

指標 概要
照度均斉度 作業面内の明るさのムラの程度
不快グレア(UGR) まぶしさの不快感を評価する指標
演色性(Ra など) 物体色の見え方の忠実度

各作業区分の推奨照度の具体的な数値(ルクス)は作業内容ごとに細かく定められています。本記事では数値を断定せず、JIS Z 9110:2024 / JIS Z 9125:2023 の本文でご確認ください。


照度管理の運用サイクル① 区域・作業の棚卸し / 目標照度の設定② 校正された照度計で測定③ 記録・台帳化 / 定期点検④ 不適合時の是正 → 再測定測定器の校正(トレーサビリティ)と測定条件の標準化が、記録の信頼性を支えます。
図. 照度管理の運用サイクル(棚卸し→測定→記録・点検→是正)

工場・プラントの照度管理 実務ステップ

① 区域・作業の棚卸しと目標照度の設定

現場を「通路・倉庫・組立・検査・制御室」などの区域/作業に分け、それぞれに対応する作業区分をJISから割り当て、目標照度(と品質要件)を設定します。

② 照度測定の方法(測定点・条件)

  • 校正された照度計を用い、作業面(一般に作業面高さ)で測定します
  • 測定点は区域内に複数設け、平均照度・均斉度を把握します
  • 昼光の影響・点灯安定後の測定など、測定条件を一定に保つことが再現性の鍵です

測定値を基準適合の記録として用いる場合、測定器の校正(トレーサビリティ)と測定条件の妥当性が重要になります。

③ 記録・台帳化と定期点検サイクル

測定値を台帳化し、基準値との差異・判定・是正履歴を残します。定期点検(例:年次)と、照明更新・レイアウト変更時の都度測定を組み合わせます。点検頻度は法令・社内規程・設備状況により異なります。

④ 不適合時の是正

基準を下回る場合は、照明器具の更新・配置見直し・清掃(照明・反射面の汚れによる低下)・ランプ交換などで是正し、再測定で確認します。


照度測定で失敗しやすいポイント

  • 測定器が未校正/校正期限切れで、測定値の信頼性が担保できない
  • 測定面の高さ・位置が区域でバラバラで、比較・再現ができない
  • 昼光や点灯直後の不安定な状態で測定し、値がぶれる
  • 平均照度のみで均斉度・グレアを見ておらず、「明るいのに見にくい」を見逃す

【チェックリスト】作業区分別の照度管理

  • 区域・作業ごとに該当する作業区分を割り当てたか
  • 各区分の目標照度・品質要件をJIS本文から設定したか
  • 使用する照度計は校正済み(有効期限内)か
  • 測定点・測定面高さ・測定条件を標準化したか
  • 平均照度に加え、均斉度・UGR(グレア)を確認したか
  • 測定値・判定・是正を台帳化し、点検サイクルを定めたか

各項目の具体値・運用は、適用するJIS本文と社内規程の確認が前提です。照度計・分光放射照度計の校正や測定条件のご相談を承っています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 工場の照度基準はどの規格を見ればよいですか?

A1. 屋内作業場の照度・品質要件は JIS Z 9125(屋内照明基準)、照明設計の総則的な考え方は JIS Z 9110(照明基準総則) が広く参照されます。作業区分ごとの推奨照度が示されているため、現場の作業内容に応じて目標値を設定します。具体的な数値・適用は規格本文と現場条件の確認が必要です。

Q2. JIS Z 9125 は照度(ルクス)以外に何を定めていますか?

A2. 推奨照度に加え、照度均斉度・不快グレア(UGR)・演色性などの品質要件を規定しています。2023年改正では輝度に関する基準が追加され、規格が定める条件を満たす場合に限り推奨照度の緩和が認められることがあります。適用条件は自己判断せず規格本文でご確認ください。

Q3. 照度はどのくらいの頻度で測定・点検すべきですか?

A3. 法令・社内規程・設備の経年により異なりますが、定期点検と、照明更新・レイアウト変更時の都度測定を組み合わせる運用が一般的です。測定値は台帳化し、基準との差異を管理します。具体的頻度は適用法令・社内基準の確認が必要です。

Q4. 照度測定は自社でできますか、外注すべきですか?

A4. 簡易な確認は校正済み照度計で自社測定も可能ですが、基準適合の記録・トレーサビリティが求められる場合は、校正された測定器・適切な測定条件での実施が重要になります。照度計・分光放射照度計の校正や測定条件のご相談も承っています。


工場・プラントの照度測定や、照度計・分光放射照度計の校正に関するご相談を承っています。現場条件・測定目的をお知らせください。

照度測定・校正について相談する


参考・出典

  • JIS Z 9110:2024(照明基準総則)/JIS Z 9125:2023(屋内照明基準):日本規格協会(JSA)
  • ISO 8995-1:2002(屋内作業場の照明、JIS Z 9125 の基礎)

本記事は上記の公開情報に基づく一般的な解説です。作業区分別の推奨照度(ルクス)の具体値や適用は、JIS本文(最新版)と社内規程の確認によってください。

最短7日間で校正完了光安全性の測定のご相談はこちら

TEL03-6371-6908 (平日9:00 ~ 17:00) お問い合わせフォーム
Translate »