CEマークは日本で必要?PSEとの違い・取得要否を実務解説【2025年版】

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

日本国内販売とEU輸出で「PSEとCEは何が違う?どちらが必要?」に迷う方向けに、対象範囲と判断フローを図解。照明はEN 62471、レーザはEN 60825-1の検討が要点—必要書類やよくある誤解、適合宣言の注意点まで実務目線で整理します。

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

PSEとCEの全体像

PSE(日本・電気用品安全法)

  • 対象:日本で販売される電気用品(約450品目、うち特定電気用品116品目)。
  • 区分:特定(ひし形PSE/第三者適合性検査+表示)と特定以外(丸PSE/自己確認+表示)。
  • 義務:事業届出技術基準適合検査記録の保存PSE表示

CEマーキング(EU/EEA)

  • 対象:EUのハーモナイズ法令(例:LVD、EMC、RoHS、RED、玩具、機械規則 等)に入る製品。
  • 方法:該当指令/規則の本質要求に適合→技術文書DoC(適合宣言)→CE表示
  • 原則:自己宣言(モジュールによりNotified Body関与あり)。
ブリッジ:照明はEN 62471(光生物学的安全)、レーザはEN 60825-1(レーザ製品安全)で評価観点が追加されます。

取得要否フロー(販売地域別)

  1. 販売地域を決める:日本/EU/両方。
  2. 対象か判定:日本=電気用品該当の有無/EU=該当指令・規則の特定。
  3. 適合方法:試験規格の選定、リスク評価、文書化、表示。

PSEの範囲と取得手順(要点)

3-1. 対象範囲

  • 代表例:ACアダプタ、電源タップ、LED電源、電熱器具、電線類 など。
  • 特定電気用品(ひし形PSE):変圧器、ヒューズ、配線器具 等(116品目)。

※ 対象判断が難しい場合は、経産省の「対象・非対象の解釈事例」や品目一覧を参照。

3-2. 手順(特定/特定以外の違い)

特定電気用品(ひし形PSE)

  1. 事業届出(輸入/製造)。
  2. 登録検査機関による適合性検査(型式確認)。
  3. ロット/出荷検査、検査記録の保存
  4. PSE表示(事業者名/住所等含む)。

特定以外(丸PSE)

  1. 事業届出。
  2. 自社/試験所で技術基準適合の確認
  3. ロット/出荷検査、記録保存。
  4. 表示(丸PSE+事業者名等)。
注意:PSE表示のない対象電気用品の販売・陳列は不可。表示体裁・責任主体の誤りはリコール要因になります。

CEの範囲と取得手順(要点)

4-1. 代表的に適用される法令例

  • LVD 2014/35/EU:AC 50–1000V/DC 75–1500Vの電気機器の安全。
  • EMC 2014/30/EU:電磁両立性。
  • RoHS 2011/65/EU:特定有害物質の制限。
  • RED 2014/53/EU:無線機器。
  • 機械規則(2023/1230/EU):2027年全面適用予定(現・機械指令の後継)。

4-2. 手順の全体像(タイムライン図)

ポイント:整合規格(EN)の採用は適合推定を与えるため、試験計画はここから逆算すると効率的です。

照明(EN 62471)・レーザ(EN 60825-1)の要点

  • 照明・LED:光生物学的安全評価をEN 62471で実施(RG判定・ラベリング)。器具規格(例:EN 60598)からも参照されます。
  • レーザ製品:EN 60825-1でクラス分け・ラベル・インタロック等の要求。CEの技術根拠として適用されます。
  • 職場ばく露(労働者保護):Artificial Optical Radiation Directive 2006/25/ECも参照(事業者向け)。

必要書類(ひな形の目安)

PSE

  • 事業届出書(輸入/製造)。
  • 適合性検査成績(特定)/自社適合確認(特定以外)。
  • ロット検査記録、校正証明、図面一式。
  • 表示図(PSEマーク、事業者名/住所)。

CE

  • 適用法令一覧と整合規格リスト。
  • 試験成績(LVD/EMC/無線/RoHS 等)。
  • リスクアセスメント、回路/部品表、ユーザーマニュアル。
  • EU適合宣言(DoC)・トレーサビリティ情報。

表示・ラベリングの比較(図版)

項目PSE(日本)CE(EU)
表示義務対象電気用品はPSE表示必須(無しは販売不可)該当法令に入る製品はCE表示必須
表示主体製造/輸入事業者名・所在地等製造者名・輸入者名・トレーサビリティ
第三者関与特定電気用品で登録検査機関の型式検査原則自己宣言(モジュールによりNB関与)
規格の例JIS/IECベースの電気安全・EMI等EN 60335、EN 62368-1、EN 55032 等(OJEU掲載)
光安全用途に応じて指針/評価(IEC 62471参照)照明はEN 62471、レーザはEN 60825-1

よくある誤解と対処

  • 誤解:「CEがあれば日本で売れる」→ 誤り。日本ではPSE等の国内法が優先。
  • 誤解:「CEは第三者認証」→ 多くは自己宣言。試験レポートはDoCの根拠として保持。
  • 誤解:「PSEは試験だけ」→ 継続的な検査記録・表示管理が必要。
  • 誤解:「EN 62471はレーザにも使う」→ レーザはEN 60825-1。非レーザ光源にEN 62471。

PSEとCEの比較表

観点PSECE
法域日本(電気用品安全法)EU/EEA(各指令・規則)
対象電気用品(約450品目)該当法令に入る全製品
評価主体特定:第三者/特定以外:自己原則:自己(NBが関与するケースあり)
主な文書検査記録、表示図、届出技術文書、DoC、ラベル
販売条件PSE表示が無いと販売不可CE表示が無いと域内で流通不可

よくある質問(FAQ)

日本国内だけで販売。CEは必要?

不要です。日本ではPSEなど国内法の要件を満たせば足ります。

EUにも輸出する。PSEとCEの両方が必要?

はい。販売地域ごとに制度が異なるため両方必要です。

照明のCEで光安全はどこを見る?

EN 62471(光生物学的安全)と、器具規格(例:EN 60598)を確認します。

レーザ製品は?

EN 60825-1でクラス分け・ラベリング・インタロック等を確認します。

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注:具体的な数値・適用可否は最新の法令・官報/OJEUの掲載内容に従ってください。

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