CEマークは日本で必要?PSE認証との違いを実務解説

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

この記事でわかること

光源製品や電気製品を扱う事業者にとって、PSEマークとCEマークはどちらも避けて通れない認証制度です。しかし、この2つは対象地域も法的根拠も大きく異なります。

この記事では、以下のポイントを実務視点で整理しました。

  • CEマークは日本国内販売で必要かどうか
  • PSE認証とCE認証の違いを比較表で確認
  • 自社製品にどちらの認証が必要かを判断するフローチャート
  • それぞれの取得手順と実務上の注意点

想定読者: LED照明・光源製品メーカーの品質保証担当者、製品安全担当者、海外輸出を検討している事業者


結論 — CEマークは日本国内で必要か?

最も多い質問から回答します。

日本国内販売のみの場合

日本国内でのみ製品を販売する場合、CEマークの取得は法的に求められていません。CEマークはEU(欧州経済領域)域内で製品を流通させるための適合表示であり、日本の法制度とは別の枠組みです。

日本国内で電気用品を販売する場合に必要となるのは、電気用品安全法に基づくPSEマークです。

EU輸出を行う場合

EU域内への輸出を行う場合は、CEマーキングが必要です。製品カテゴリに応じて、LVD指令(低電圧指令)、EMC指令(電磁両立性指令)、RoHS指令など、複数のEU指令への適合が求められます。

光源製品の場合は、これらに加えてEN 62471(光生物学的安全性)への適合も考慮する必要があるケースがあります。

両方が必要なケース

日本国内での販売とEU域内への輸出を並行して行う場合は、PSEマークとCEマークの両方が必要となります。光源製品(LED照明等)の場合、日本側では電気用品安全法に基づくPSE、EU側ではLVD指令・EMC指令等に基づくCEマーキングがそれぞれ求められます。

両認証の試験項目には重複する部分もあるため、並行して準備を進めることで効率化が期待できます。


PSE認証とCE認証の基本

PSE認証(電気用品安全法)とは

PSEマークは、日本の電気用品安全法(電安法)に基づき、電気用品の安全性を担保するために表示が義務付けられているマークです。

電気用品は「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」に分類されます。特定電気用品は登録検査機関による適合性検査が必要であり、それ以外の電気用品は届出と自主検査が基本的な手続きとなります。

PSEマークの形状も2種類あります。

  • ひし形PSEマーク(◇PSE): 特定電気用品に表示。登録検査機関の関与が必要
  • 丸形PSEマーク(〇PSE): 特定電気用品以外に表示。届出と自主検査が基本

CE認証(CEマーキング)とは

CEマーキング(CE marking)は、EU域内で製品を流通させるために必要な適合表示です。「Conformite Europeenne(欧州適合)」の略とされています。

CEマーキングの対象は広範で、電気・電子機器、機械、医療機器、玩具、建材など多くの製品カテゴリが含まれます。製品ごとに適用される「EU指令」が異なり、それぞれの指令が定める必須要求事項(Essential Requirements)を満たす必要があります。

法的位置づけの違い

PSEマークは日本の法律(電気用品安全法)に基づく義務であり、日本国内で対象電気用品を販売する場合に必須です。

一方、CEマーキングはEU法(各種EU指令・規則)に基づく義務であり、EU域内で製品を上市する場合に必要です。

両者は法的根拠が異なるため、一方の認証を取得しても、もう一方が免除されるわけではありません。


PSEとCEの違い — 比較表

比較項目 PSEマーク CEマーキング
対象地域 日本国内 EU(欧州経済領域)
法的根拠 電気用品安全法(電安法) 各種EU指令(LVD、EMC、RoHS等)
対象製品 電気用品安全法で指定された電気用品 EU指令で対象とされる製品全般
規制当局 経済産業省 EU加盟国の市場監視当局
認証方式 届出制(特定電気用品は第三者検査必須) 原則自己宣言(製品カテゴリにより第三者機関の関与が必要)
マーク形状 ◇PSE(特定)、〇PSE(それ以外) CEマーク(統一デザイン)
主な準拠規格 JIS規格(JIS C 8105等) EN規格(EN 62471、EN 60598等)
適合宣言 届出書・検査記録の保管義務 適合宣言書(DoC)の作成・保管義務
罰則 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金等 EU域内での販売停止・市場からの撤去命令等
技術文書 検査記録の保管が義務 技術文書(Technical Documentation)の作成・保管が義務
光安全性関連 JIS C 7550(IEC 62471対応)の試験が必要な場合あり EN 62471に基づく光生物学的安全性評価が求められる場合あり

認証が必要かどうかの判断フローチャート

以下のフローで、自社製品にPSE・CEのどちらの認証が必要かを判断できます。

【判断フローチャート】

STEP 1: 販売先の確認

製品を日本国内で販売するか?

はい → STEP 2へ

いいえ → STEP 3へ

STEP 2: PSEの要否

製品は電気用品安全法の対象品目に該当するか?

はい → PSEマークが必要

特定電気用品に該当するか?

はい → ◇PSEマーク(登録検査機関の適合性検査が必要)

いいえ → 〇PSEマーク(届出+自主検査)

いいえ → PSEマークは不要(ただし他の法規制を確認)

STEP 3: CEの要否

製品をEU域内で販売するか?

はい → CEマーキングが必要

適用されるEU指令を特定 → 整合規格に基づき適合評価

いいえ → CEマーキングは不要(ただし輸出先国の法規制を確認)

STEP 4: 両方の確認

日本国内販売 + EU輸出の両方を行う場合

→ PSEマークとCEマーキングの両方が必要

光源製品(LED照明・ランプ等)の場合

LED照明やランプなどの光源製品については、以下の追加確認が必要です。

  • 日本側(PSE): 電気用品安全法の対象品目リストで、自社製品がどの区分に該当するかを確認します。LED照明器具の多くは電気用品に該当しますが、具体的な分類は製品仕様によって異なる場合があります。
  • EU側(CE): LVD指令・EMC指令に加え、光源製品の場合はEN 62471(光生物学的安全性)への適合評価も考慮する必要があります。リスクグループの分類結果によっては、製品への表示義務が生じます。

医療機器の場合

光を使用する医療機器については、上記のPSE・CEに加えて、別途の医療機器規制が適用されます。

  • 日本: 薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく承認・認証が必要
  • EU: MDR(医療機器規則、EU 2017/745)に基づく適合評価が必要

医療機器の場合は認証プロセスが大きく異なるため、専門の規制対応コンサルタントや認証機関に相談することを推奨します。

玩具・消費者製品の場合

光を発する玩具やLEDを使用した消費者製品については、以下の規制も確認が必要です。

  • 日本: 消費生活用製品安全法(消安法)のほか、食品衛生法(乳幼児向け製品の場合)にも注意が必要です。
  • EU: 玩具安全指令(2009/48/EC)に基づくCEマーキングが求められます。光生物学的安全性についてはEN 62115やEN 62471が参照される場合があります。

PSEマーク取得の手順

特定電気用品と特定電気用品以外の分類

電気用品安全法では、電気用品を以下の2種類に分類しています。

  • 特定電気用品(約116品目): 構造上安全性への影響が大きいとされる製品。電線、ヒューズ、配線器具、電気温水器など。登録検査機関による適合性検査が義務付けられています。
  • 特定電気用品以外の電気用品(約341品目): 上記以外の電気用品。LED電球、電気スタンドなど。届出と自主検査が基本です。

品目の具体的な分類は、電気用品安全法施行令の別表で定められています。自社製品がどちらに該当するかは、製品仕様を確認の上、必要に応じて経済産業省や登録検査機関に確認することを推奨します。

届出から販売までのステップ

PSEマーク取得の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 事業届出: 電気用品の製造または輸入を開始する前に、経済産業省(管轄の経済産業局)に届出を行います。
  2. 技術基準への適合確認: 電気用品の技術上の基準(省令で規定)に適合していることを確認します。
  3. 適合性検査(特定電気用品の場合): 登録検査機関による適合性検査を受け、証明書の交付を受けます。
  4. 自主検査: 出荷前に自主検査を実施し、検査記録を保管します。
  5. PSEマーク表示: 技術基準適合を確認した上で、PSEマークを製品に表示します。
  6. 販売開始: 上記手続きが完了した後、製品を市場に出荷します。

必要な試験項目

光源製品の場合、一般的に以下のような試験項目が関連します。

  • 絶縁耐力試験
  • 温度上昇試験
  • 漏電試験
  • 機械的強度試験
  • 光安全性試験(JIS C 7550 / IEC 62471に基づくリスクグループ評価が必要な場合あり)

具体的な試験項目は製品の種類・仕様によって異なるため、試験機関への事前相談を推奨します。


CEマーキング取得の手順

適用指令の特定

CEマーキングの最初のステップは、自社製品に適用されるEU指令を特定することです。光源製品・電気製品の場合、一般的に以下の指令が関連します。

  • LVD指令(2014/35/EU): 50V~1000V ACの電気機器に適用される低電圧指令
  • EMC指令(2014/30/EU): 電磁両立性に関する指令
  • RoHS指令(2011/65/EU): 特定有害物質の使用制限に関する指令
  • ErP指令(2009/125/EC): エネルギー関連製品に対するエコデザイン要求

整合規格の確認

適用指令を特定した後、各指令に対応する整合規格(Harmonised Standards)を確認します。整合規格に適合することで、指令の必須要求事項への適合が推定されます。

光源製品の場合の代表的な整合規格としては、以下が挙げられます。

適合宣言(DoC)の作成

全ての適用指令に対する適合性を確認した後、メーカー(またはEU域内の認定代理人)が適合宣言書(Declaration of Conformity: DoC)を作成します。DoCには以下の情報を含める必要があります。

  • 製品の識別情報(型式名、製品名等)
  • 適用した指令の一覧
  • 適用した整合規格の一覧
  • メーカーまたは認定代理人の情報
  • 署名日・署名者

光源製品の場合の注意点(EN 62471等)

光源製品のCEマーキングでは、EN 62471に基づく光生物学的安全性の評価が重要なポイントとなります。

  • EN 62471ではリスクグループ(免除群、リスクグループ1、2、3)への分類が求められます
  • リスクグループ2以上に分類された場合、製品への警告表示が必要となる場合があります
  • 試験には分光放射計を用いた測定が必要であり、専門の試験設備と技術が求められます

EN 62471に基づく光安全性試験や試験機器の校正については、専門機関への相談を推奨します。

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よくある誤解と注意点

「CEマークがあればPSEは不要」は正しいか

これは誤解です。CEマーキングはEU指令への適合を示すものであり、日本の電気用品安全法とは別の法体系に基づいています。CEマークを取得していても、日本国内で対象電気用品を販売するためには別途PSEマークの取得が必要です。

「PSEがあれば海外でも販売できる」は正しいか

これも誤解です。PSEマークは日本の電気用品安全法に基づく制度であり、海外の規制とは連動していません。EU域内への輸出にはCEマーキング、米国への輸出にはUL認証やFCC認証など、各国・地域の規制に応じた対応が必要です。

自己宣言と第三者認証の違い

CEマーキングの多くの製品カテゴリでは、メーカーによる自己宣言(Self-declaration)が認められています。ただし、これは「試験や評価が不要」という意味ではありません。整合規格に基づく試験を実施し、適合を確認した上で宣言を行う必要があります。

一方、PSEマークの特定電気用品については、登録検査機関による第三者検査が義務付けられています。自己宣言のみでは対応できない点に注意が必要です。

なお、CEマーキングにおいても一部の製品カテゴリ(医療機器など)ではNotified Body(認証機関)の関与が必要です。


よくある質問(FAQ)

Q1: CEマークは日本国内で販売する場合にも必要ですか?

日本国内のみで販売する場合、CEマークは法的に不要です。CEマークはEU域内に製品を流通させるための適合マークであり、日本国内販売にはPSEマーク(電気用品安全法の対象製品の場合)が関連する制度となります。ただし、将来的にEU輸出を計画している場合は、設計段階からCEマーキングの要件を考慮しておくと効率的です。

Q2: PSEとCEマークの両方を取得する必要があるのはどのような場合ですか?

日本国内での販売とEU域内への輸出の両方を行う場合は、PSEマークとCEマークの双方の対応が必要となります。光源製品(LED照明等)の場合、日本では電気用品安全法に基づくPSE、EUではLVD指令やEMC指令等に基づくCEマーキングが求められます。両認証の試験項目には重複部分もあるため、並行して準備することで効率化が可能です。

Q3: CEマークの「自己宣言」とPSEマークの「届出」は何が違いますか?

CEマーキングは、原則としてメーカー自身が適合宣言(Declaration of Conformity)を作成する「自己宣言方式」が基本です(一部の製品カテゴリでは第三者認証機関の関与が必要)。一方、PSEマークの取得には経済産業省への届出が必要であり、特定電気用品の場合は登録検査機関による適合性検査が義務付けられています。手続きの性質が異なる点に注意が必要です。

Q4: PSE認証とCE認証、それぞれどのくらいの費用と期間がかかりますか?

費用・期間は製品の種類や試験項目の数によって大きく異なります。一般的な目安として、いずれも試験費用と申請・届出の手続きを含めて数か月程度を要する場合が多いとされます。正確な費用と期間は、対象製品を明確にした上で試験機関に見積もりを依頼することを推奨します。


まとめ・次のステップ

PSE認証とCE認証は、対象地域・法的根拠・認証方式が異なる別個の制度です。

  • 日本国内販売のみ → PSEマークの取得を確認
  • EU輸出 → CEマーキングの取得を確認
  • 両方 → PSEとCEの両方に対応

まずは自社製品がどの法規制の対象となるかを正確に把握し、必要な認証を特定することが第一歩です。光源製品の場合は、電気安全性に加えて光安全性(IEC 62471 / EN 62471)の評価も重要な検討項目となります。

認証取得に必要な光安全性試験や測定機器の校正については、専門機関への早期相談が効率的な対応につながります。


参考情報

  • 経済産業省「電気用品安全法の概要」(https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/)
  • 欧州委員会「CEマーキング」(https://single-market-economy.ec.europa.eu/single-market/ce-marking_en)
  • LVD指令 2014/35/EU(EU官報)
  • EMC指令 2014/30/EU(EU官報)
  • RoHS指令 2011/65/EU(EU官報)
  • IEC 62471:2006 “Photobiological safety of lamps and lamp systems”
  • JIS C 7550「ランプ及びランプシステムの光生物学的安全性」

※ 各規格・法令の最新版は、発行元の公式サイトでご確認ください。


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