PSEマーク取得完全ガイド|電気製品輸入から販売までの手順

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

電気製品を日本国内で安全に販売するための必須認証であるPSEマーク取得は、仕様書の詳細化から試験機関への依頼、登録手続き、取得後の運用まで、多岐にわたるステップを正確に踏む必要があります。本記事では、製品スペック作成や安全設計レビューのポイント、試験項目ごとの具体的基準、オンライン申請の手順、マーク表示ルール、さらにはモデルチェンジ時の再認証・内部監査まで、実務担当者が迷わず進められるよう詳細に解説します。各工程での注意点や効率化のコツを押さえ、安全品質とコスト効率を両立させた認証フローを構築しましょう。

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

はじめに:PSEマーク制度の位置づけ

PSEマークは日本国内で電気用品を流通させる上での「安全パスポート」です。製造・輸入・販売事業者は電気用品安全法に従い、登録電気用品名録への登録と適切なマーク表示を行わなければなりません。このガイドでは、準備段階からアフターケアまで、各プロセスでの注意点や効率化のコツを網羅的に解説します。

輸入前の準備:仕様書・マニュアル整備

1.1 製品仕様書の詳細化

  • 電気的スペック:入力電圧(V)、周波数(Hz)、定格消費電力(W)
  • 機械的スペック:寸法(mm)、質量(kg)、ケーブル長(m)
  • 周辺環境:使用温度/湿度範囲、屋内/屋外
  • 付属品・オプション品リストも忘れずに

1.2 安全設計レビューのポイント

  1. 絶縁距離・クリアランス:見落としがちな小型部品間もチェック
  2. 過熱保護:サーミスタ/温度ヒューズ設置場所の最適化
  3. ノイズ対策:EMC指令を意識したフェライトコア付与

1.3 取扱説明書・保証書ドラフト

  • 必須表示:使用前点検、廃棄方法、自己修理禁止等の警告文
  • イラスト活用:接続方法や分解禁止箇所は図解で明示
  • 多言語対応:輸入相手国の主要言語版も用意するとトラブル軽減

指定試験機関での安全試験プロセス

2.1 試験項目の把握

試験名目的基準値
耐電圧試験絶縁耐力の確認AC1.5倍電圧を1分間保持
絶縁抵抗試験漏れ電流防止>100MΩ
耐熱試験発火・変形防止定格温度+20℃で1時間
耐久試験長期使用の安全性通電1000時間後評価

2.2 試験依頼~レポート取得の流れ

  1. 試験機関選定:実績・納期・費用を比較
  2. 見積取得・サンプル数決定:サンプルは公称・最大値それぞれ用意
  3. 試験実施:立会いの可否を事前確認
  4. 試験レポート:合否判定に加え、改善コメントも要請

Point: 万一不合格の場合は、試験機関のコメントを基に設計変更/部品選定を行い、再試験のスケジュールを確保しましょう。

登録申請とマーク表示

3.1 電気用品名録登録手続き

  • オンライン提出:経産省の「電気用品安全法申請システム」を利用
  • 必要書類:試験成績書、技術基準適合証明書、仕様書、図面
    ※電子データと紙の原本を合わせて提出
  • 審査期間:通常1~2週間

3.2 マーク表示ルール

  • 表示位置:本体底面またはケーブルラベル(消費者の目に触れやすい位置)
  • マークサイズ:直径5mm以上(製品サイズに応じて拡大可)
  • 付帯情報:登録番号、製造者名または輸入者名

取得後の保管・更新

4.1 書類保管と管理

  • 保存期間:試験成績書や登録書は5年間保管
  • 電子化管理:スキャン保存+紙原本はロッカー保管
  • 社内アクセス:PSE担当者リストと閲覧権限の設定

4.2 モデルチェンジ・改良時の再認証

  1. 設計変更がある場合は「軽微変更」と「全面変更」を区分
  2. 軽微変更:自己判断で再試験不要の場合あり(要所のみ再評価)
  3. 全面変更:再試験・再登録が必須

Tip: 新モデル開発時には、改良箇所リストを用意し、変更の有無を試験機関と事前に協議しておくと二度手間を防げます。

まとめと次の一手

PSEマーク取得は単なる「通過点」ではなく、安全品質を社内外に示す強力な武器です。本ガイドでご紹介した詳細チェックリストとコツを活用し、輸入から販売、アフターフォローまでを一気通貫で整備してください。特にモデルチェンジ時の運用ルールや内部監査体制を早めに整備すれば、長期的なコスト削減とブランド信頼向上が見込めます。

参考文献

  1. 経済産業省 電気用品安全法(PSE制度)
    https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/(最終更新:2024年12月)

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