JIS Z 9125:2023 室内照明の新基準まとめ|改正ポイントと実務への影響

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

事務所・工場・医療施設などの照度・グレア・輝度・演色を、どう設計/点検するか。2023年改正の要点を、現場で使える設計フローとチェックリスト付きで要約し、IEC 62471(光生物学的安全)との照合観点も整理します。

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

この記事で分かること

  • JIS Z 9125:2023の改正ポイント(不快グレアUGR、壁・天井の推奨輝度、用途別推奨値の整理、エネルギー配慮の設計選択肢 など)
  • 設計フロー:用途→照度→UGR→輝度→演色→保守計画
  • 代表用途の推奨値(抜粋):事務所空間など
  • 点検チェックリスト(受入検査・運用点検)
  • IEC 62471との橋渡し(光安全評価の観点)
改正の背景:屋内照明の品質を保ちつつ、省エネや快適性(グレア・空間輝度)の両立を図る方向に整理されています。

改正ポイント(2023)

  • 用途別の推奨値が再整理:事務所・教育・医療・商業・住宅など、空間ごとに照度・UGR・演色などを提示。
  • 不快グレア(UGR)の上限を用途別に明確化。
  • 空間の明るさ感を支える輝度平均壁面輝度・平均天井輝度の目安を提示。
  • オフィスの一部空間では輝度条件を満たすことを前提に推奨照度を1段階下げ得る選択肢が明記(省エネ配慮)。

※ 詳細値は規格本文の表を参照してください。本記事の表は実務イメージの抜粋です。

設計フロー(図解)

代表用途の推奨値(抜粋)

用途(例) 推奨照度 Em UGR上限 平均壁面輝度 平均天井輝度 演色性(例) 備考
事務室(一般) 500–750 lx 19 ≧ 30 cd/m² ≧ 20 cd/m² 高演色クラス1(例) 輝度条件充足なら照度1段階低減可(設計判断)
会議室 300–500 lx 22 Ra≧80(目安) プレゼン用途に応じて調光を併用
病院・診療所(廊下) 200–300 lx 22 Ra≧80(目安) 夜間の眩しさ配慮

※ 上表は代表的な例のイメージです。実務ではJIS Z 9125:2023 本文の各表(事務所=表5、用途別=表6〜)で最新値をご確認ください。

現場で使える点検チェックリスト

A. 設計/改修時

  • 用途・作業分類を特定(該当表番号:__)。
  • 照度計画:作業面Em=__ lx(MF:__)。
  • UGRシミュレーション:上限__以下(算出条件を保存)。
  • 空間輝度:壁平均__ cd/m²、天井平均__ cd/m²(測定/計算根拠)。
  • 演色:Raまたはクラス__(器具仕様書で確認)。
  • (オフィス該当時)輝度条件充足→照度1段階低減採用/不採用(根拠)。

B. 受入/運用点検

  • 照度実測(n点平均):作業面Em=__ lx(最低/最高も記録)。
  • 不快グレア:眩しさ苦情の有無、視線方向の器具輝度確認。
  • 壁/天井輝度:__/__ cd/m²(必要に応じ測定)。
  • 故障・ばらつき:点灯不良__台、色度ばらつきの有無。
  • 保守:清掃周期__、光束維持率__、交換基準__。

IEC 62471(光生物学的安全)との照合観点

  • JIS Z 9125は快適性・視作業性の設計基準。光曝露リスク(UV/青色光/IR/熱)はIEC 62471で別途評価。
  • 高輝度小光源・近接使用・幼児/患者向け機器などは、RG判定とラベリングを忘れずに。
  • 照明器具選定時は、メーカーの光安全情報(規格適合・注意表示)も確認。

関連記事:IEC 62471 実務ガイド

よくある質問(FAQ)

照度は高いほど良い?

過剰な照度はエネルギー浪費やグレア増加を招きます。用途に応じた推奨照度とUGR・輝度バランスが重要です。

UGRは現場でどう扱う?

器具配置・配光・反射率を含むシミュレーションで確認し、眩しさの苦情が出やすい視線方向の器具輝度に注意します。

改修でまず見直すべきは?

配光と反射率(壁・天井の明るさ感)を確認。必要なら輝度条件を満たした上で照度の見直し(オフィス一部空間)も選択肢です。

更新履歴:2025-08-14 全面改稿(改正ポイント・設計フロー図・代表値抜粋・チェックリストを追加)

注:数値・適用の可否は必ずJIS Z 9125:2023 正本の各表に従ってください。

最短7日間で校正完了光安全性の測定のご相談はこちら

TEL03-6371-6908 (平日9:00 ~ 17:00) お問い合わせフォーム
Translate »