旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
LED内蔵玩具・玩具用小型レーザー・ボタン電池式光源など、LED玩具の安全性を製品タイプ別に整理。直視・電池発熱・誤飲リスクの着眼点と、開発時に使えるチェックリストを解説します。
この記事の監修
旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
目次
LED内蔵玩具、玩具用の小型レーザー、ボタン電池式の光る知育玩具など、光源を組み込んだ玩具の種類は増えています。これらの製品で確認すべきリスクは、光源の直視だけでなく、電池の発熱、誤飲、筐体の破損まで多岐にわたり、製品タイプによって着眼点が異なります。この記事でわかることは次のとおりです。
なお、対象年齢区分ごとの詳細な要求事項や発達段階に応じた配慮は姉妹記事の担当領域とし、本記事では製品タイプ軸での整理に絞ります(姉妹記事:公開後にリンク追加予定)。
LED内蔵玩具、玩具用小型レーザー、ボタン電池式小型光源、光る知育玩具といった製品には、共通する部分と製品タイプ固有の部分の両方のリスクがあります。光源そのものの強さや指向性に関するリスクだけでなく、電源となる電池、光源を覆う筐体・レンズ、そして使用環境や誤使用まで含めて考える必要があります。以下では、代表的な4つの観点に分けて整理します。
光源を組み込んだ玩具で最初に検討すべきなのが、直視によるリスクです。至近距離で光源をのぞき込む使い方や、玩具用の光線銃・的当て玩具のように光を人に向ける遊び方をした場合、他の子どもの目に光が向けられる可能性があります。光源の出力や指向性(ビームの広がり方など)によって眼への影響の程度は異なるため、一律に「問題がある・ない」と判断することはできません。開発段階では、光源の仕様を把握したうえで、拡散板や遮光カバーといった光学設計上の工夫によって直視のリスクを下げられないかを検討することが望まれます。
光源を点灯させるための電池・回路部分では、連続使用や誤った使い方をした際の温度上昇が課題になります。電池の種類・容量と回路設計が整合していない場合、外装の変形や変色につながる可能性があります。また、電池を逆向きに入れてしまう誤使用や、想定外の充電行為に対する保護機構の有無も、設計段階で確認すべき項目です。これらは光源そのものの安全性とは別の切り口であり、電気玩具全般に共通するリスクとして扱う必要があります。
ボタン電池式の光源を使う玩具や、装飾用の小部品を伴う光る知育玩具では、誤飲のリスクが特に重要です。独立行政法人国民生活センターは令和6年7月31日の報道発表で、子どものボタン電池誤飲事故について注意喚起を行っています。電池の放電によって生じたアルカリ成分が消化管を損傷するとされており、電池カバーの開閉構造(工具の要否やロック機構の有無など)を確認することが誤飲対策の基本になります。装飾用の小部品についても、引張・落下といった試験によって脱落しにくさを確認する視点が必要です。
LEDやレーザー素子を覆うレンズ・カバーが、落下や経年劣化によって破損した場合、内部の電池・基板といった部品が露出する可能性があります。筐体材質の耐衝撃性に加えて、破損時に鋭利な破片が生じないか、破損後も光源が露出したまま点灯し続けない設計になっているかは、光源単体の安全性とは別に確認すべき観点です。これは玩具用小型レーザー、LED内蔵玩具、光る知育玩具のいずれにも共通する着眼点といえます。
LED・小型光源を組み込む玩具では、光源そのものの強さだけでなく、電池・筐体・使用環境まで含めた複合的なリスクを想定した確認が推奨されます。以下にリスク種別ごとの想定事象と設計・確認上の着眼点を整理します。
表1: 製品タイプ×リスク種別の整理(想定事象と設計・確認上の着眼点)
| リスク種別 | 想定される事象 | 関係する製品タイプ | 設計・確認上の着眼点 |
|---|---|---|---|
| 光源の直視(強い指向性のLED・玩具用レーザー) | 至近距離での直視、他の子どもの目に光を向ける行為による眼への影響(程度は光源仕様と曝露条件により異なる) | 玩具用小型レーザー/LED内蔵玩具 | 光源の出力・指向性(強さ・ビーム角等)の把握、レーザークラス等の区分該当有無の確認、区分判定に用いる測定条件の確認、直視を防ぐ光学設計(拡散板・遮光カバー等)の検討が想定されます(要確認) |
| 電池による発熱・過熱 | 連続使用や誤使用時の電池部・回路の温度上昇、外装の変形・変色 | ボタン電池式小型光源/LED内蔵玩具/光る知育玩具 | 電池の種類・容量と回路設計の整合性確認、連続点灯時の温度確認(測定条件の設定を含む)、過充電・逆接続時の保護機構の有無の確認が想定されます(要確認) |
| ボタン電池等の小型電池の誤飲・小部品の脱落 | ボタン電池や装飾用の小部品を子どもが誤って飲み込む | ボタン電池式小型光源/光る知育玩具/LED内蔵玩具 | 電池カバーの開閉構造(工具要否・ロック機構等)の確認(該当する規格・基準がある場合はその要求事項を確認)、小部品の引張・落下試験の実施状況、対象年齢表示との整合確認が推奨されます(要確認) |
| 材質・筐体(レンズ・カバーの破損による露出) | 落下や経年劣化によるレンズ・カバーの破損、内部部品(電池・基板等)の露出 | LED内蔵玩具/玩具用小型レーザー/光る知育玩具 | 筐体材質の耐衝撃性、破損時の鋭利な破片発生有無、破損後も光源が露出したまま点灯し続けない設計かどうかの確認が想定されます |
| 使用環境・誤使用(他者への照射など) | 玩具を他者の顔・目に向けて使用する、暗所での長時間注視など意図しない使用方法 | 玩具用小型レーザー/LED内蔵玩具/光る知育玩具 | 取扱説明・警告表示の内容、誤使用を想定した警告表示の位置・視認性、販売・広告時の訴求表現との整合確認が推奨されます(要確認) |
(要確認)の項目は一次情報での裏取りができていません。規格原文等でご確認ください。
光源を組み込んだ玩具に関係しうる規格・法規は複数存在しますが、その適用関係や具体的な数値基準の多くは、本記事の調査時点では原文を直接確認できていません。ここでは一次情報で確認できた範囲と、未確認のため慎重な扱いが必要な範囲を分けて整理します。
消費生活用製品安全法(消安法)では、「携帯用レーザー応用装置」が特定製品として指定されているとされます。このうち第三者検査を要する「特別特定製品」に該当するかどうかは施行令(政令)別表側の確認が必要ですが、本記事では該当する政令別表の原文を確認できておらず、該当有無は特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。この製品区分の定義は、「経済産業省関係特定製品の技術上の基準等に関する省令」(昭和49年3月5日省令第18号)別表第一の5において、「レーザー光(可視光線に限る。)を外部に照射して文字又は図形を表示することを目的として設計したもの」とされています。
ここで実務上重要なのは、この定義が「文字又は図形の表示を目的とする」機器に限定されている点です。的当て玩具や光線銃のように、演出目的でレーザー光を内蔵する玩具全般が、この定義に自動的に当てはまるかどうかは、本記事では条文上の明確な根拠を確認できておらず特定していません。また、出力や外形寸法に関する具体的な数値についても、省令別表本文を直接確認できていないため、本記事では記載していません。自社製品がこの区分に該当するかどうかは、条文の文言と製品仕様を照らし合わせた個別確認が必要です。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。
玩具用の光源に関係しうる規格としては、次のようなものが挙げられます。いずれも規格原文の詳細な条文番号・数値基準までは確認できていないため、名称と大まかな位置づけの紹介にとどめます。
上記の規格名称・区分・数値はいずれも一次情報の原文を直接確認できておらず、詳細を特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。
経済産業省の資料によれば、生後36月未満を対象とする遊戯目的の玩具について、令和6年12月13日公布とされる政令により「子供用特定製品」への指定が予定されているとされます。この公布日を含め、公布日・施行時期・対象範囲の詳細は、本記事では資料本文を直接確認できておらず特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。年齢区分ごとの詳細な要求事項や、発達段階に応じた光への配慮については本記事の対象外とし、姉妹記事で扱う予定です(姉妹記事:公開後にリンク追加予定)。同様に、点滅・高速な点灯パターンを用いる玩具における配慮(光過敏性への影響等)についても、対象年齢の観点とあわせて姉妹記事で扱う予定です(姉妹記事:公開後にリンク追加予定)。
なお、海外の玩具規制と日本の法規制との比較については、世界の玩具を安全に楽しむための羅針盤:海外の玩具規制と日本の法規制との比較で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
規格・法規の適用関係に未確認の部分が多いことを踏まえると、開発・輸入の実務では「該当するかどうかを断定せず、個別に確認する」という姿勢が重要になります。ここでは、光源選定と表示・警告ラベルという2つの観点から、確認すべきポイントを整理します。
光源を選定する段階では、まず出力・指向性(強さ・ビーム角等)を光源メーカーの仕様書等で把握することが基本になります。そのうえで、使用する光源がレーザークラス等の区分に該当する可能性がないか、該当規格の分類基準を確認する必要があります。ただし、光源の区分判定には測定距離・受光条件・曝露時間の定義といった測定条件が影響するため、仕様書の数値のみで区分を判断することはできません。あわせて、電池式LED玩具が電気用品安全法(PSE)の対象になるかどうかは、機能・電源電圧・用途表示等により個別判断が必要な事項です。「対象である」「対象外である」と一律に断定することはできず、経済産業省製品安全課や登録検査機関等への確認をおすすめします。該当規格の分類基準、適用すべき測定条件、およびPSE該当性の判断基準は、本記事では一次情報を確認できておらず特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。
光源を組み込んだ玩具では、対象年齢や使用上の注意(直視や他者への照射を避ける旨など)を、表示や取扱説明書に明記することが安全対策の一環として重要です。具体的にどのような表示が求められるかは、該当する規格・法規によって異なるため、本記事では一律の書式を示すことはできません。具体的な表示要求事項は、本記事では一次情報を確認できておらず特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。電池交換・廃棄方法に関する注意表示も、誤飲・発熱リスクへの対応として欠かせない要素です。表示内容を検討する際は、販売・広告時の訴求表現との整合も確認しておくと、後工程での手戻りを防ぎやすくなります。
開発・輸入の各段階で見落としを防ぐため、光源仕様から評価・記録までを横断したチェックリストとして整理しました。自社製品の該当有無に応じてご活用ください。
表2: LED・光源玩具の安全確認チェックリスト
| チェック欄 | 確認項目 | 確認の観点/参照先 |
|---|---|---|
| □ | 【光源仕様】光源の出力・指向性(強さ・ビーム角等)を把握しているか | 光源メーカーの仕様書等 |
| □ | 【光源仕様】使用するLED・レーザー素子がクラス区分等の対象に該当しないか | 該当規格の分類基準および測定条件(要確認) |
| □ | 【電池・電源】使用する電池の種類・サイズ・容量と回路設計が整合しているか | 回路設計仕様・電池仕様書 |
| □ | 【電池・電源】連続使用時の電池部・回路の温度上昇を確認しているか | 社内測定手順(測定条件の設定を含む)(要確認) |
| □ | 【電池・電源】電池の逆接続・過充電時の保護機構を備えているか | 回路設計仕様 |
| □ | 【機械的安全(小部品・筐体)】ボタン電池等の電池カバーに工具要否・ロック機構等の誤飲対策を設けているか | 該当規格の要求事項(要確認) |
| □ | 【機械的安全(小部品・筐体)】装飾用の小部品・レンズ等の引張・落下試験を実施しているか | 社内試験記録/該当規格(要確認) |
| □ | 【機械的安全(小部品・筐体)】レンズ・カバー破損時に内部部品が露出したまま点灯し続けない設計になっているか | 設計レビュー記録 |
| □ | 【表示・取扱説明】対象年齢・使用上の注意(直視や他者への照射を避ける旨等)を表示・説明書に明記しているか | 表示に関する該当規定(要確認) |
| □ | 【表示・取扱説明】電池交換・廃棄方法に関する注意表示を記載しているか | 取扱説明書 |
| □ | 【評価・記録】設計変更(光源・電池・筐体等)の都度、安全性評価を再実施し記録を残しているか | 社内品質保証プロセス |
(要確認)の項目は一次情報での裏取りができていません。規格原文等でご確認ください。
Q1: 玩具用の小型レーザーは、一般のレーザー製品と同じ考え方で扱われますか?
A1: レーザー製品には出力等に応じたクラスの考え方があるとされています。消安法では「携帯用レーザー応用装置」が特定製品として指定されているとされますが、第三者検査を要する特別特定製品に当たるかどうかは、本記事では施行令別表を確認できておらず特定していません。また、その定義は「可視光レーザーで文字又は図形を表示することを目的として設計したもの」に限定されており、玩具に内蔵されるレーザー全般が自動的に該当するとは限らないため、個別の確認が必要です。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。
Q2: ボタン電池を使用するLED玩具で特に注意すべきリスクは?
A2: 誤飲によるリスクです。国民生活センター(令和6年7月31日発表)は、電池の放電により生じたアルカリで消化管が損傷すると注意喚起しています。電池カバーの構造・固定方法を確認し、容易に開かない設計にしておくことが重要です。
Q3: 光る知育玩具のLED部分は、直視しても問題ないと考えてよいですか?
A3: 一律には判断できません。光源の出力・指向性、および曝露の条件によって眼への影響の程度は異なります。開発段階では、光学設計上の工夫(拡散板・遮光カバー等)によって直視のリスクを下げられないかを個別に検討する必要があります。
Q4: LED玩具は電気用品安全法(PSE)の対象になりますか?
A4: 該当性は機能・電源電圧・用途表示等により個別判断となる事項であり、本記事では一律の判定基準を特定していません。「対象である」「対象外である」と断定することはできず、経済産業省製品安全課や登録検査機関等への確認をおすすめします。
Q5: 玩具用の小型光源に関係する国際規格にはどのようなものがありますか?
A5: 電気玩具規格(IEC 62115)、レーザー製品規格(IEC 60825-1 / JIS C 6802)、光生物学的安全性規格(IEC 62471 / JIS C 7550)などが関係しうるとされていますが、玩具への適用関係の詳細は、本記事では一次情報を確認できておらず特定していません。実務判断の際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。海外規制との比較は、本文3章で紹介した既存の関連記事をご参照ください。
LED玩具・光る玩具・小型光源を組み込んだ玩具のリスクは、光源の直視だけでなく、電池・発熱、誤飲、筐体・材質まで含めた複合的な観点で確認する必要があります。規格・法規の面では、消安法の「携帯用レーザー応用装置」やIEC 62115・IEC 60825-1・IEC 62471といった規格・法令が関係しうるものの、玩具への適用関係や具体的な数値基準の多くは本記事の調査時点で原文を確認できておらず、個別の確認が欠かせません。開発・輸入の実務では、断定を避けつつ、表1のリスク整理と表2のチェックリストを起点に、光源選定から表示・評価記録までを段階的に確認していくことをおすすめします。
玩具に使用するLED・小型光源の安全性評価、測定条件の整理に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
政府・行政機関(一次情報)
業界団体・認証機関(準一次情報)
規格原文(IEC / EN / JIS)は有償頒布のため、本記事では原文を直接確認していない箇所があります。該当箇所には(要確認)を付しています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 携帯用レーザー応用装置 | 消費生活用製品安全法上の製品区分の一つとされる。「可視光レーザー光を外部に照射して文字又は図形を表示することを目的として設計したもの」と定義される(定義文言は省令で確認済み。特別特定製品に当たるかは未確認)(要確認) |
| 特別特定製品 | 消費生活用製品安全法上、第三者検査を要するとされる製品区分。どの製品が該当するかは施行令別表の確認が必要(要確認) |
| ST基準 | 一般社団法人日本玩具協会が定める玩具の安全基準。機械的安全性・可燃安全性・化学的安全性の3分野で構成されるとされる(要確認) |
| IEC 62115 | 電気玩具の安全性に関する国際規格とされる。対象年齢の範囲(14歳未満とされる)を含め、原文は未確認(要確認) |
| IEC 60825-1 / JIS C 6802 | レーザー製品の安全性に関する規格とされる。出力等に応じた区分(クラス分け)や構造・表示・取扱説明書に関する要求を定めるとされるが、区分の数・名称・境界値は原文未確認(要確認) |
| IEC 62471 / JIS C 7550 | 光源の光生物学的安全性に関する規格。免除グループからリスクグループ3まで段階的にリスクを評価する枠組みとされる(要確認) |
| 子供用特定製品 | 消費生活用製品安全法に基づき、乳幼児(生後36月未満)を対象とする遊戯目的の玩具等が指定されるとされる製品区分(政令本文は未確認)(要確認) |
| 電気用品安全法(PSE) | 電気用品の安全性を確保するための法律。玩具への該当性は機能・電源電圧・用途表示等により個別判断となるとされる(要確認) |
(要確認)の項目は一次情報での裏取りができていません。規格原文等でご確認ください。
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