旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
この記事の監修
旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
目次
ISO 15289は光安全性に関連する国際規格の一つです。しかし「ISO 15289」という名称で検索すると、光放射安全性ではなくシステムおよびソフトウェアエンジニアリングの文書化規格がヒットする場合があります。本記事では、まず「ISO 15289」という名称の規格の実態を整理したうえで、光安全性評価に関連する規格体系(IEC 62471、IEC 60825-1等)との関係を実務的に解説します。光源・照明製品の認証対応を担当する方が、規格の体系を正確に把握するための参考記事として構成しています。
ISO 15289は、ISO(国際標準化機構)が発行する規格です。正式名称は「Systems and software engineering — Content of life-cycle information items (documentation)」であり、システム・ソフトウェアエンジニアリングにおける文書化を対象としています。
現行版はISO/IEC/IEEE 15289:2019(第4版、2019年7月発行)です。ISO/IEC JTC1 SC7が所管しており、2025年に内容が再確認されています。(ISO公式サイトより)
光源・照明製品の光安全性評価を目的とする規格とは直接の関係はありません。
「光安全性の国際規格」として調べる場合に混同されやすい背景として、以下の点が考えられます。
製品の光安全性評価を行う場合は、次のセクションで解説する規格を参照してください。
光源・照明製品の安全評価では、以下の規格が中心的な役割を担います。
| 規格 | 発行元 | 対象 | 概要 |
|---|---|---|---|
| IEC 62471 | IEC | 光源全般(非コヒーレント光) | 光生物学的安全性、リスクグループ分類 |
| IEC 62471-6 | IEC | UV-C光源(殺菌用等) | Part 6: Ultraviolet lamp products(2022年発行)。UV-C殺菌灯の評価・ラベリング要求を規定 |
| IEC 60825-1 | IEC | レーザー製品 | レーザー安全クラス分類 |
| JIS C 7550 | JSA | 国内向け(IEC 62471対応) | IEC 62471の日本語対応版。現行はJIS C 7550:2011(2014年追補あり) |
| ISO/CIE 8995 | ISO/CIE | 職場照明 | 照度・グレア等の設計指針 |
光安全性の評価文脈では、IEC 62471が最も頻繁に参照される規格です。
IEC 62471は複数のパートから構成されています。2006年版(IEC 62471:2006)が基本であり、特定用途向けのパートが追加されています。
製品に適用すべき規格パートは、光源の種類・用途・市場(地域規制)によって異なります。
| 光源タイプ | 主に適用する規格 |
|---|---|
| 照明用LED、蛍光ランプ、HIDランプ | IEC 62471 |
| レーザー(コヒーレント光) | IEC 60825-1 |
| UV-C殺菌ランプ | IEC 62471-6(Ultraviolet lamp products、2022年) |
| ディスプレイ(バックライト等) | IEC 62471(機器規格で参照) |
コヒーレント光(レーザー)と非コヒーレント光(一般照明等)は、ハザード評価のアプローチが根本的に異なります。製品カテゴリを確認のうえ適切な規格を選定してください。
EU市場向けにはCEマーキングの文脈でIEC 62471が参照される場合があります。北米市場(UL規格)や日本市場(JIS)でも、IEC 62471をベースにした要求事項が適用されるケースがあります。
※各市場での具体的な規制要求は、製品カテゴリ・市場によって異なります。規制の適用範囲は変更される場合があります。実務適用前に最新情報をご確認ください。
内部リンク候補:CEマーキングと光安全性規格の関係については「EU市場向けLED照明のCEマーキング対応ガイド」を参照してください。
光安全性規格の要求事項を把握し、設計段階でリスクを低減することが重要です。具体的には以下のような活用が考えられます。
第三者機関への試験依頼時には、適用規格・評価パラメータ・測定条件を明確にする必要があります。規格の適用範囲・除外条件を事前に確認しておくことで、試験の手戻りを減らせます。
チェックリスト:試験申請前の確認事項
量産段階では、光学特性の変動が安全評価に影響する場合があります。測定器の定期校正と合わせて、製品ロット単位での抜き取り評価を検討してください。
内部リンク候補:校正の重要性については「測定器校正とISO/IEC 17025認定の意義」を参照してください。
本記事のポイントを整理します。
光安全性規格は複数の体系が並立しており、製品カテゴリと市場によって適用規格が異なります。判断に迷う場合は専門機関への相談を推奨します。
Q1: ISO 15289は照明製品の認証に使いますか?
A1: ISO 15289はシステム・ソフトウェアエンジニアリングの文書化規格であり、照明製品の光安全性認証には直接使用しません。照明製品の光安全性評価には、主にIEC 62471が適用されます。規格番号をもとに検索する際は、IEC(国際電気標準会議)とISO(国際標準化機構)の発行元の違いにも注意してください。
Q2: 光安全性規格は製品カテゴリによって変わりますか?
A2: はい、変わります。一般照明用LEDにはIEC 62471、レーザーポインタや光通信用レーザーにはIEC 60825-1、UV-C殺菌灯には専用パートが適用される場合があります。また、販売市場(EU・米国・日本等)によって参照すべき地域規格や法規制も異なります。製品カテゴリと市場を確認したうえで、適切な規格を選定してください。
適用規格の選定や光安全性評価のご相談は、専門家に直接お問い合わせください。製品の光源種別・市場・評価目的に応じた適切な規格の案内が可能です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| IEC | 国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)。電気・電子分野の国際規格を発行する |
| ISO | 国際標準化機構(International Organization for Standardization)。工業製品・サービス等の国際規格を発行する |
| 非コヒーレント光 | 光子間の位相が揃っていない光。一般照明・LED照明・蛍光灯がこれに該当する |
| コヒーレント光 | 光子の位相が揃った光。レーザーがこれに該当する |
| リスクグループ | IEC 62471における光生物学的リスクの分類。RG0(免除)〜RG3(最高リスク)の4段階 |
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