旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
医療用レーザーは、手術や治療、診断など多くの医療現場で欠かせない存在となっています。しかし、強力なエネルギーを持つため、正しい規格や法規制の理解・遵守がなければ、重大な事故や法的トラブルにつながるリスクも。この記事では、医療用レーザーの導入・運用に不可欠なJIS規格、IEC国際基準、薬機法、日本独自のガイドラインまで、基礎から最新動向までわかりやすく解説します。これから導入を検討する方も、既に運用中の現場担当者も、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修
旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
目次
医療用レーザーは、外科手術・皮膚科・眼科・歯科・美容医療など幅広い分野で利用されます。一方で、レーザー照射による火傷や失明など重大事故の報告もあり、正しい取り扱いと規格遵守が不可欠です。
医療用レーザーの安全運用には、以下のような複数の基準や法規制が関係しています。
それぞれの特徴や役割を整理しておきましょう。
JIS T 60601-2-22は、医療用レーザー機器の安全要求事項を規定する日本の基準です。IEC 60601-2-22に準拠しつつ、国内運用に特有の要素を含みます。
主なポイント:
IEC 60825-1は、全世界で参照されるレーザー製品の安全基準です。
医療用レーザーは、薬機法(医療機器法)の規制対象です。
薬機法やJISだけでなく、日本レーザー医学会などが発行する独自ガイドラインも重要です。
機器導入時・運用時・保守点検時にそれぞれ必要なチェックポイントを用意し、法規制・規格への適合性を確認しましょう。
例えば:
※チェックリストのPDF提供や院内掲示を推奨
万が一、法規制や規格に違反した場合、次のようなリスクがあります。
海外(EU・米国等)でも規格の改定や新たな安全基準策定が進んでいます。日本でも今後、医療機器のデジタル化や遠隔操作対応などを背景に規制が強化される可能性があります。最新の厚生労働省通知や、各種ガイドラインを常にチェックし、適切な対応を続けることが重要です。
医療用レーザー機器は、最先端の医療を支える一方で、重大な事故や法的リスクもはらんでいます。安全に運用するためには、JIS T 60601-2-22やIEC 60825-1といった国際的・国内的な規格だけでなく、薬機法や日本独自のガイドラインを正しく理解し、現場に即した安全管理を徹底することが不可欠です。
また、規格や法規制は今後もアップデートされていくため、最新情報の収集やスタッフへの継続的な教育も重要です。
この記事を参考に、医療現場でのレーザー機器の導入・運用にあたって十分な安全対策を講じ、患者・スタッフ双方の安全と信頼を守りましょう。
専門用語解説
JIS T 60601-2-22: 医療用レーザー機器の日本産業規格。
IEC 60825-1: 国際的なレーザー製品安全規格。
薬機法: 医薬品、医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧薬事法)。
リスクグループ(クラス分類): レーザー機器の危険度分類。
インターロック: 不正操作や事故防止のための安全装置。
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