旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
光安全性試験で不適合判定が出やすい典型パターン(波長選定ミス・測定距離誤り・パルス光処理ミスなど)と、試験前に防ぐための対策を実務担当者向けに解説します。
この記事の監修
旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
光安全性試験で「不適合」判定が出ると、出荷スケジュールの遅延・設計変更コスト・再試験費用が発生します。不適合の多くは、試験前の段階で防げる「判断ミス・確認漏れ」が原因となっています。
この記事では、光安全性試験で不適合になりやすい典型的なパターンを整理し、試験前チェックで回避するための実務知識を提供します。事例はすべて一般化・匿名化した内容であり、特定の製品や企業を示すものではありません。
光安全性試験で不適合判定が出た場合、以下のような実務的な影響が生じます。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 出荷・販売の遅延 | 再試験完了まで出荷できない場合がある |
| 設計変更コスト | 光学設計・回路設計の見直しが必要になる場合がある |
| 再試験費用 | 再試験は初回と同等の費用が発生することが多い |
| スケジュールの再調整 | 量産・発売日程の全体見直しが必要になる場合がある |
| 取引先・顧客への影響 | 納期遅延による信頼低下・契約問題 |
不適合は「試験に失敗した」ではなく「設計上の問題を試験で発見した」と捉えることが重要です。試験前の段階で問題を把握できるほど対処コストは低くなります。
IEC 62471では、評価が必要なハザード(UV・ブルーライト・網膜熱・IR等)は製品の発光波長によって決まります。LED製品でも、UV-A成分(315〜400nm)が微量に含まれる場合は、UV放射ハザードの評価が追加で必要になることがあります。
「可視域LED照明だからUV評価は不要」と判断して評価を省略してしまうケースが報告されています。分光分布データ(SPD)を事前に取得し、UV成分の有無を確認することが重要です。[要一次情報確認]
防止策: 試験前にSPDを測定し、全ハザードの該当可否を試験機関と確認する
IEC 62471では、評価に使用する測定距離は製品の用途・想定ユーザーの状況によって規定されています。「一般的な照明器具」と「業務用スポットライト」では適用される測定条件が異なる場合があります。
自社で事前評価した際に使用した測定距離が、試験機関の判断と異なっていたために評価結果が変わるケースがあります。[要一次情報確認]
防止策: 試験機関と測定条件(距離・時間・角度)を事前に合意してから試験に臨む
パルス駆動やPWM調光を使用する光源は、連続光(CW)とは異なる時間積分処理が必要です。ピーク照射量と時間平均照射量を混同して評価してしまうと、実際より低い評価値になり、試験機関での正規評価で不適合となるケースがあります。[要一次情報確認]
防止策: パルス光源はIEC 62471の時間積分ルールを試験機関に確認してから評価する
複数のLEDや光学系を組み合わせた製品では、個々の光源を単独で評価しただけでは不十分なケースがあります。光源が重なり合う場合や、反射・拡散光が合算される場合は、合算評価が必要になることがあります。[要一次情報確認]
防止策: 製品の光学系設計を試験機関と共有し、合算評価の必要性を事前確認する
JIS C 6802:2025の改正(IEC 60825-1:2014対応)のように、規格は定期的に改正されます。旧版の規格で自社評価を行い、試験機関では最新版が適用されたために結果が変わるケースがあります。
特に、数年前に試験を受けた製品の後継機種を開発する際に、規格が改正されていることに気づかないケースが多いとされています。[要一次情報確認]
防止策: 試験依頼前に適用規格の最新版を確認する。JIS・IEC規格は定期的に改正が行われる
試験機関から不適合の通知を受けた後は、以下の手順で対応します。
1. 不適合の原因特定 試験機関のレポートで、どのハザード・どの波長域・どの測定条件で限界値を超過したかを確認します。
2. 原因に応じた対応方針の判断
3. 再試験の依頼 設計変更または測定条件修正後、試験機関と再試験の日程・費用を調整します。再試験は初回試験と同等の費用・期間が必要になる場合が多いため、スケジュールへの影響を想定して計画を立てます。[要一次情報確認]
試験依頼前に以下を確認することで、不適合リスクを大幅に低減できます。
試験機関への問い合わせ前に確認すべき事項をSTEP形式でまとめた「試験前ヒアリングシート」を用意しました。不適合を防ぐためのチェック項目を一覧化しています。
Q1. IEC 62471の試験で不適合になった場合、製品の販売は即停止になりますか?
IEC 62471はISO/IEC規格であり、日本国内では直接の法的強制力を持つ規格ではありません(PSEのような法規制とは異なります)。ただし、EU向けCEマーキングや特定の調達要件で引用されている場合は、不適合が市場流通上の問題につながる可能性があります。最終的な判断は法的助言が必要です。[要一次情報確認]
Q2. 不適合になりやすい製品の特徴はありますか?
一般的に、UV成分を含む光源(UV-A/UV-B/UV-C)・高輝度・高出力の照明器具・パルス駆動やPWM調光を使用する製品・複数の光源を組み合わせた製品は評価が複雑になりやすく、不適合リスクが高いとされています。試験機関への事前相談で設計段階から確認することをお勧めします。[要一次情報確認]
Q3. 規格の改正があった場合、過去の試験結果は有効ですか?
規格が改正された場合、改正前の試験結果が継続して有効かどうかは、販売先の要件や認証機関の方針によります。JIS C 6802:2025改正など近年は改正が続いているため、定期的な確認が必要です。[要一次情報確認]
Q4. 自社で事前評価を行う場合、どのような測定機器が必要ですか?
IEC 62471の評価には分光放射照度計・輝度計・UV放射照度計などが必要で、評価するハザードの種類によって使用する機器が異なります。自社測定の結果が第三者試験の前段確認として有用ですが、最終的な認証や規制適合の証明には認定試験機関による試験が必要です。[要一次情報確認]
試験前のリスク確認・規格の適用可否を事前に確認したい場合はご相談ください。
試験機関への依頼前の整理を無料でサポートします。
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