光安全性試験とは?医療機器メーカーが試験依頼前に準備すべき仕様・測定条件

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

医療機器・美容機器メーカーが光安全性試験を依頼する前に整理すべき仕様情報、LED/UV/レーザー別の測定ポイント、PMDA相談前チェック項目を実務担当者向けに解説します。

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

この記事でわかること

「光安全性試験を依頼したいが、何を準備すればよいか分からない」という相談は医療機器・美容機器メーカーから多く寄せられます。

この記事では、光源搭載の医療・美容機器を開発する企業が、試験機関への依頼前に整理すべき仕様情報・測定条件と、LED/UV/レーザー別の確認ポイントを解説します。

一般製品(照明器具・産業用機器等)向けの試験前準備については「光安全性試験で不適合になりやすい5つのパターンと対策」もあわせてご参照ください。

要点まとめ:光安全性試験の結果は、カタログスペックではなく「最終製品状態での使用条件」が基準になります。医療機器では薬事申請との整合も必要なため、試験機関への相談前に仕様情報・使用シナリオ・薬事スケジュールを整理しておくことが重要です。

光安全性試験で確認されること

光安全性試験では、製品から発せられる光が使用者・患者・周囲の人にとって安全な範囲内であるかを評価します。評価の基準は使用する光源の種類によって異なります。

光源種別 主な適用規格 評価の中心
LED・ランプ・IPL(非レーザー) IEC 62471 光生物学的ハザード(UV・BLH・網膜熱・IR等)のリスクグループ分類
レーザー光源 IEC 60825-1 / JIS C 6802 レーザークラス分類・AEL・NOHD
非レーザー光源(医療・美容目的) IEC 60601-2-57 医療・美容機器固有の安全要件

試験の結果は「クラス分類」「リスクグループ」という形で製品の安全性レベルを示します。この結果が薬事申請書・技術文書・製品ラベルに反映されます。


試験前に準備すべき仕様情報

試験機関への初回相談・試験依頼前に以下の情報を整理しておくと、測定条件の確定がスムーズになります。

すべての光源共通

情報項目 具体的な内容
光源の種類 LED / ランプ / レーザー / IPL / UV-C 等
発光波長(nm) ピーク波長・発光波長範囲
最大出力(mW/W) 連続光・パルス光のピーク/平均
照射対象 皮膚 / 眼 / 空間 / 物体表面
想定使用者 医療従事者 / 患者 / 一般消費者
使用環境 医療機関 / 美容サロン / 家庭 等

医療・美容機器で特に重要な追加情報

情報項目 重要な理由
最小使用距離(mm/cm) 評価距離の設定に直結する
1回の照射時間(秒) 時間積分値の評価基準になる
インターバル・使用回数 累積曝露量の評価に影響する
光学系の構成 レンズ・フィルター・拡散板の有無が評価値を変える
照射面積(cm²) 熱ハザードの評価に必要
皮膚タイプへの対応 IEC 60601-2-57の要件に関連

光源別の測定ポイント

LED・IPL(非レーザー)医療機器の場合

分光放射照度(SPD)の事前取得が重要です。 SPDがあれば、評価すべきハザードの種類(UV・BLH・網膜熱・IRのどれが該当するか)を試験前に整理できます。

確認すべきポイント:

  • UV成分(315〜400 nm)が含まれているかどうか
  • ブルーライトハザード評価が必要な波長成分(300〜700 nm)があるか
  • 赤外線(780 nm以上)成分が含まれているかどうか

レーザー医療機器の場合

ビーム特性の整理が必須です。 出力だけでなく、ビーム径・発散角・パルス条件がレーザークラスの決定に大きく影響します。

確認すべきポイント:

  • 連続光(CW)かパルス発振か
  • パルスの場合:パルス幅・繰返し周波数・デューティ比
  • ビーム径の測定値(D86またはD4σ)
  • 最終製品のアパーチャー(放射口)での測定か

UV-C殺菌機器の場合

漏れ光の評価範囲の設定が重要です。 製品外部への漏れ光を、保守作業時の最近接距離も含めて評価設計します。

確認すべきポイント:

  • 遮光構造の仕様(インターロックの有無)
  • 保守・点検時に作業者が接近する位置と時間
  • 扉・カバーの隙間からの漏れ光の有無

試験レポートで確認すべき項目

試験完了後のレポートでは、以下の内容が薬事申請や技術文書に必要な情報として含まれているか確認します。

  • ✅ 適用規格名とバージョン(例:IEC 62471:2006)
  • ✅ 測定距離・測定条件の明示
  • ✅ 各ハザードの測定値と限界値
  • ✅ リスクグループまたはクラスの判定結果
  • ✅ 使用した測定機器の校正証明(JCSS等)
  • ✅ 試験機関のISO/IEC 17025認定スコープ

仕様未確定段階で相談するメリット

光安全性の相談は、仕様が完全に確定してからでなくても可能な場合があります。

試作前・試作初期段階のメリット:

  • 設計上の光安全性リスクを早期に発見し、光学系・筐体・安全機構の設計に反映できる
  • 試験計画を薬事スケジュールと並行して立て、全体のスケジュールロスを減らせる
  • 試験条件の見込みを持った上で、より精度の高い試験見積が得られる

よくある質問(FAQ)

Q1. 海外試験機関のレポートは国内の薬事申請で使えますか?

試験機関のISO/IEC 17025認定スコープ・試験方法・試験条件が適切であれば、海外試験機関のレポートが国内申請で参照できる場合があります。ただし、PMDAへの申請では個別に確認が必要です。

Q2. 試験機関を選ぶ際に確認すべきことは何ですか?

主な確認事項として「ISO/IEC 17025認定の取得有無」「認定スコープに対象規格が含まれているか」「医療機器向け試験の実績」があります。詳しくは「光安全性測定器の校正ガイド|JCSS認定から校正証明書まで」をご参照ください。

Q3. 試験依頼から結果レポートまでどのくらいかかりますか?

試験機関・試験内容・製品の複雑さによって大きく異なりますが、一般的には数週間〜数か月程度かかる場合があります。スケジュールへの影響を防ぐため、早期に試験機関と日程を相談することを推奨します。



参考文献・参考規格

IEC 62471:2006, IEC 60825-1:2014, IEC 60601-2-57:2023, ISO/IEC 17025:2017(各一次情報は公式サイト・IECウェブストアで確認してください。)

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