CISPR 15とは?照明器具のノイズ規制と電気用品安全法の関係

JIS Q 17025(ISO/IEC 17025)認定校正機関

CISPR 15は照明器具の電磁妨害波(EMC)に関する国際規格。PSE取得済みでも見落としがちな対応ポイントを、電波法・VCCI自主規制との違いとあわせて整理します。

この記事の監修

山西 幸男

旭光通商株式会社 取締役

山西 幸男

光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。

この記事でわかること

CISPR 15は、照明器具から発生する電磁妨害波(無線障害)の許容値と測定法を定めた国際規格です。電気用品安全法(PSE)が感電・火災など製品そのものの安全性を扱うのに対し、CISPR 15は照明器具が他の機器や無線通信に与える影響を扱う規格であり、両者は目的が異なります。ただし日本国内では、電気用品安全法の技術基準(省令第十八条 雑音の強さ)への適合を判断する基準として、CISPR 15整合の国内基準が解釈通達に組み込まれており、現在その移行期にあります。この記事では、照明器具・LED製品メーカーの技術・品質保証担当者、輸出入担当者に向けて、CISPR 15と電気用品安全法・電波法・VCCI自主規制それぞれの関係を整理し、実務上の確認ポイントをまとめます。

  • CISPR 15とは何を規定する規格か、電気用品安全法とどう関係するか
  • 電気用品安全法の技術基準解釈にCISPR整合規格が組み込まれている経緯
  • CISPR 15が適用される照明器具の範囲と、適用除外・みなし適合の考え方
  • 一般照明用のLED照明・蛍光灯とVCCI自主規制の対象範囲の違い
  • 輸出時・PSE取得後に確認すべき実務上の注意点
  • 自社製品の対応状況を確認するためのチェックリスト

1. CISPR 15とは ── 照明器具の電磁妨害波規制

CISPR 15は、IEC(国際電気標準会議)傘下のCISPR(国際無線障害特別委員会)が発行する規格で、電気照明及び類似機器から発生する無線妨害波(伝導性の妨害波電圧、放射性の電磁妨害波)の許容値及び測定法を規定しています。安全規格ではなく、電磁両立性(EMC)に関する規格です。

日本語版としてはCISPRJ 15:2017があり、CISPRJ電波雑音委員会が発行しています。序文には、CISPR 15第8.0版(2013年発行)を基とし、総務省電気通信技術審議会の答申内容を考慮して作成された旨が記載されています(出典: https://www.cisprj.jp/doc/CISPRJ_15_2017.pdf)。CISPR 15自体のその後の改訂状況、およびCISPRJ 15への反映状況については、本記事執筆時点で特定していません。適用の可否を判断される際は、規格原文および所管省庁の公表情報をご確認ください。

適用周波数範囲は9 kHzから400 GHzで、屋内外の照明器具のほか、安定器・コンバータ・調光器といった専用附属装置、紫外線・赤外線放射応用機器、ネオンサインなども対象に含まれます。これは規格の適用範囲として示される周波数範囲であり、実際に許容値が規定されている周波数区間は規格本文の該当条項で確認する必要があります。適用範囲の詳細は「2. CISPR 15が適用される照明器具の範囲」で扱います。

なお、JIS C 8155(一般照明用LEDモジュールの性能要求事項)はIEC 62717等を基にした規格であり、対象範囲がCISPR 15とは異なる別規格です。いずれもLED照明に関連する規格として言及されるため混同されることがありますが、JIS C 8155は性能に関する規格であり、EMCを扱うCISPR 15とは目的が異なります。

本記事では次の3つの文書名が登場します。混同しやすいため、はじめに整理します。

  • CISPR 15: CISPRが策定する国際規格の本体。
  • CISPRJ 15:2017: CISPRJ電波雑音委員会が発行する日本語版。CISPR 15 第8.0版(2013年)を基としています。
  • J55015: 電気用品安全法の技術基準の解釈 別表第十二に収録される、CISPR 15に整合した国内基準の規格番号。

このうち、J55015が具体的にCISPR 15のどの版に対応するかは、本記事では特定できていません。CISPRJ 15:2017とJ55015は同一の文書ではありません。

1.1 電気用品安全法(PSE)との違いと関係

CISPR 15と電気用品安全法(PSE)は、規制の目的が異なります。PSEは感電・火災など電気製品そのものの安全性を確保するための日本国内の法令であり、CISPR 15は照明器具が発する電磁妨害波が他の機器・無線通信に影響を与えないようにするための国際規格です。この目的の違いは押さえておく必要があります。PSE制度そのものの基礎(事業届出・適合性検査・表示等の手続き)については、PSEとCE安全性認証の違いと取得方法で解説していますので、あわせてご確認ください。

一方で、「目的が違う=まったく無関係の別制度」と単純化すると実態からずれます。電気用品の技術上の基準を定める省令 第十八条は「雑音の強さ」として、電気用品が通常の使用状態において放送受信及び電気通信の機能に障害を及ぼす雑音を発生しないことを求めています。これが日本国内における雑音規制の法的根拠になっています。この省令の解釈通達には、雑音の強さに関する規定として別表第十(日本独自の系譜)と別表第十二(国際規格等に準拠した基準)の2系統がありますが、照明器具については別表第十自体が段階的にCISPR整合の国内規格「J55015」へ置き換えられてきた経緯があります。

下表は、両者の関係を目的・性格・対応の観点から整理したものです。

表1: 電気用品安全法(PSE)とCISPR 15の比較

観点 電気用品安全法(PSE) CISPR 15(EMC)
目的(何から守るか) 感電・火災など電気製品そのものの安全性の確保 照明器具が発する電磁妨害波が他の機器・無線通信に影響を与えないようにすること(電磁両立性)
規制の性格 日本国内の法令(電気用品安全法およびその政省令・技術基準) 国際的な規格文書。ただし日本国内では、技術基準省令第十八条を受けた解釈通達の別表を通じて、CISPR 15整合の国内規格J55015が参照される構造になっています(→1.1参照)
主体・発行元 経済産業省(法令所管)、登録検査機関(特定電気用品の適合性検査) IECの特別委員会であるCISPR(国際無線障害特別委員会)
対象(何に課されるか) 電気用品安全法施行令が指定する電気用品(特定電気用品・特定電気用品以外) 照明器具全般(LED照明・蛍光ランプ等を含む)の電磁妨害波(伝導妨害・放射妨害)(適用除外・みなし適合の区分あり。2章参照)
根拠規格・技術基準 電気用品の技術上の基準を定める省令(解釈通達 別表第一〜第十一、または別表第十二の国際整合基準) CISPR 15規格本文(国内ではJ55015。版数は要確認)
適合の示し方(表示等) PSE表示(菱形・丸形)を製品に付す 規格文書自体は適合表示の制度を持たない(表示は各国の規制・認証制度側の枠組みによる)
対応しなかった場合の位置づけ 表示のない電気用品の販売は禁止され、罰則の対象となり得る 規格文書そのものには罰則はない。ただし日本国内では、省令第十八条(雑音の強さ)への適合を判断する基準として解釈通達の別表にCISPR 15整合の基準(J55015)が置かれているため、照明器具の雑音規制への対応は省令第十八条の遵守という形で電気用品安全法の枠内に位置づけられる

表の「根拠規格・技術基準」「対応しなかった場合の位置づけ」の行が本記事のいちばんの要点です。「PSEとCISPR 15はまったく別物」という理解は正確ではありません。目的自体は異なりますが、日本国内では電安法の技術基準解釈(別表)にCISPR 15整合の雑音規制が組み込まれており、照明器具については経過措置期間を含む移行期にあります。

なお、本節で扱う改正時期・規格の版数には、経済産業省の原文では確認できていない箇所が含まれます。該当箇所はその旨を本文中に明記していますので、実務判断の際は必ず原典をご確認ください。

具体的には、経済産業省の解釈通達は令和3年12月28日改正(対象: LEDランプ・電球形、猶予1年)、令和4年8月31日改正(対象: 照明器具全般、猶予3年)、令和7年8月29日改正・同年8月31日施行(別表第十を別表第十二へ完全一本化、猶予3年)と段階的な改正を重ねてきたとされます。ただし、ここに挙げた各改正の年月日および猶予年数そのものは、経済産業省の通達原文ではなく、登録検査機関である一般財団法人電気安全環境研究所(JET)の解説記事に基づく整理であり、一次情報での裏取りができていません(出典: JET NEWS「規格・基準の改正動向 vol.058」2025年9月 https://www.jet.or.jp/common/data/publication/vol.058.pdf)。改正後の別表第十は、光源及び光源応用機械器具(白熱電球を除く)について、別表第十二に掲げる基準のうち該当する基準を適用する、という一文に置き換えられたとされています。各改正通達の正式な文書番号、および記事執筆時点(2026年7月)での各猶予期間の経過状況は、一次情報では確認できていません。上記の改正年月日・猶予年数を含め、自社製品への適用時期を判断される際は、経済産業省の通達原文または登録検査機関に必ずご確認ください。 経過措置期間中の取扱い(従前の基準の適用可否)と、期間満了後に適用される基準についても、自社製品の区分ごとに確認が必要です。

また、別表第十二上で参照されるJ55015の現行版数・発行年についても、「J55015(H20)=2008年」とする記載と「CISPRJ 15:2017(CISPR 15:2013)」とする記載の両方が見られ、どちらが正式に参照されているか特定できていません。版数の断定は避けます。適用される版数は実務上の判断に直結するため、別表第十二の原文または登録検査機関にご確認ください。

1.2 VCCI自主規制・電波法との関係(混同されやすい点)

CISPR 15はEMC規制であるため、「EMC=VCCI」という連想から、VCCI自主規制の対象になると誤解されることがあります。しかし、一般照明用のLED照明・蛍光灯等は、VCCI自主規制の対象には含まれません。

VCCI協会(一般財団法人VCCI協会)の公式サイトによれば、VCCI自主規制の対象は「マルチメディア機器(MME)」=情報技術装置(ITE)、オーディオ装置、ビデオ装置、放送受信機器、娯楽用照明制御装置、またはこれらの組合せとされています(出典: https://www.vcci.jp/english/general/flow.html。出典は英語ページであり、日本語の名称は訳語です)。適用除外規定として「情報技術装置の機能が主要機能でない、または含まれないMME」は対象外とされており、一般照明用のLED照明・蛍光灯はMMEの定義に該当せず、仮に該当を論じる場合でもこの適用除外に含まれると考えられます。つまり、CISPR 15とVCCI自主規制は「連続する規制」ではなく、対象範囲が異なる別の枠組みです。

ただし、VCCIの定義には「娯楽用照明制御装置」が明示的に含まれています。舞台照明・エンタメ照明の制御装置を指すと考えられますが、一般照明用の制御装置(家庭用調光器等)との境界線はVCCI公式ページ上に明記がなく、確認できていません。舞台演出用途の照明や調光器等の制御装置を含む製品を扱われる場合は、自社製品が対象に含まれるかをVCCIへ直接ご確認ください。

電波法については、電子レンジ・誘導加熱調理器等の「高周波利用設備」に対する個別の設備許可制度が別途存在します。CISPR 11(工業・科学・医療用装置)については電波法関連省令との整合を図った実例があるとされますが、CISPR 15が対象とする一般的な交流電源点灯の照明器具について、電波法の高周波利用設備規制が同様に適用されるという記載は確認できませんでした。誘導灯・プラズマ照明・無電極放電ランプ等の高周波点灯方式の照明器具については、電波法の適用可能性を排除できるとまでは言えません。該当する点灯方式の製品を扱う場合は、総務省または登録検査機関にご確認ください。

2. CISPR 15が適用される照明器具の範囲

以下に整理する適用範囲・適用除外・みなし適合の内容は、CISPRJ 15:2017(CISPR 15 第8.0版:2013を基とする日本語版)の記載に基づきます。それ以降の版で変更があるかどうかは特定できていません。最新版の内容は規格原文をご確認ください。

CISPR 15本文の適用範囲は、低圧電源接続または電池点灯で照明目的の光の発生・分配を主機能とする照明機器全般を対象としています。具体的には、屋内用照明器具(白熱電球器具・蛍光灯器具等)、屋外用照明機器(街路灯・投光照明等)、照明機器専用の独立形附属装置(調光器、変圧器・コンバータ、安定器、アダプタ)、安定器内蔵形ランプ、紫外線・赤外線放射応用機器、管形冷陰極放電ランプ(ネオン管等)、電池内蔵形非常時照明器具、輸送機関照明(バス・電車内の照明)、LED光源及び関連照明器具が含まれます。

2.1 LED照明・蛍光ランプ等の対象範囲

LED照明はCISPR 15の主要な対象のひとつです。ただし、後述するとおり内部構成によって試験の要否が変わるため、「LED照明だから一律に試験が必要」と単純化せず、自社製品の回路構成を踏まえた確認が必要です。蛍光ランプ器具についても同様に、点灯方式(安定器の種類等)によって扱いが変わり得ます。

紫外線及び赤外線放射応用機器、広告用ネオンサイン、屋外の街路・投光照明、輸送機関照明も明示的に対象範囲に含まれており、一般家庭用の照明器具に限らず、業務用・産業用・輸送用の照明機器も広く対象になり得る点は見落とされやすいポイントです。

2.2 適用除外・みなし適合とされるもの

CISPR 15規格本文には、適用除外及び試験不要(みなし適合)とされる区分があります。

適用除外の例としては、ISM周波数(工業・科学・医療用の特定周波数帯)で点灯する照明機器、航空機用及び空港用の照明機器、他のCISPR規格や答申で明白に規格化されている機器のほか、目盛の照明・ネオン装置など他の機器に内蔵される照明装置、複写機、スライド投射機、道路を走る乗り物の走行用灯火に関する照明機器(他のCISPR規格の所管)、電撃殺虫器などが挙げられています。なお、バス・電車の車内照明のように、輸送機関に設置される照明機器そのものは適用範囲に含まれます(2.冒頭参照)。両者の切り分けは規格本文の適用範囲・除外条項で確認してください。

みなし適合の例としては、白熱電球器具のうち、光制御装置や電子スイッチを内蔵しない単純な商用電源点灯品は、電磁妨害を発生しないものとして試験が不要とされます。

LED光源についても、能動的な電子スイッチング部品を含まないものは試験不要のみなし適合とされます。ただし、これに該当しない製品──大半のLED照明・LEDモジュールが該当すると考えられます──については、電源端子妨害波電圧及び放射妨害波の許容値の両方への適合が求められます。自社製品がどちらに該当するかは、回路構成(電子スイッチング部品の有無)を基準に確認することが出発点になります。

なお、ここで整理したみなし適合はCISPR 15規格上の扱いです。電気用品安全法の技術基準の解釈(別表第十二/J55015)上で同一に扱われるかどうかは、本記事では確認できていません。みなし適合に該当すると判断される場合は、根拠となる規格の該当条項と自社製品の回路構成の対応を文書として残し、試験所または登録検査機関に判断の妥当性を確認することをおすすめします。

3. 対応が必要な理由と実務上の注意点

CISPR 15への対応が必要になる背景には、輸出時の要求と、PSE取得済み製品であっても別途確認が必要な国内事情の2つがあります。それぞれ確認しておきます。

3.1 輸出時に求められるEMC適合の確認(EN 55015等)

EN 55015はCISPR 15を基にした欧州の整合規格(Harmonized Standard)で、EU EMC指令(2014/30/EU)の下でのCEマーキング適合性証明に使用されるとする記載が複数の技術系解説記事で見られます。ただし、EUR-Lex等EU公式のOJ(官報)掲載整合規格リストそのものは確認できておらず、EN 55015の現行有効性・最新改正版番号は確認できていません。EU官報(OJ)掲載の整合規格リストをご確認ください。「EN 55015への適合がCEマーキングに必須」といった断定は避け、輸出先国・地域の規制当局や現地代理店に個別に確認することが必要です。

米国・中国等、EU以外の国・地域におけるCISPR 15の採用形態は本記事では扱いません。輸出先が複数国にわたる場合は、国・地域ごとにEMC制度の該否を確認する作業が実務上の負担になりやすい点に留意が必要です。

なお、海外の製造委託先やOEM供給元からCISPR 15・EN 55015に基づく試験報告書を受領している場合でも、その報告書が国内の解釈通達(別表第十二/J55015)の要求をそのまま満たすとは限りません。参照している規格の版数、測定条件、対象とした試験項目の対応関係を、試験所または登録検査機関にご確認ください。

3.2 PSE取得済みでも別途確認が必要な理由

雑音の強さは省令第十八条に定められた技術基準の一項目であり、本来、電気用品安全法上の適合確認の対象に含まれます。CISPR 15(国内ではJ55015)はPSEの外側にある別制度ではありません。

それにもかかわらず改めて確認が必要になるのは、主に次の2つの理由からです。

第一に、1.1で整理したとおり、照明器具の雑音の強さについては参照される基準が段階的に置き換えられてきました。過去に取得した適合の根拠が、現行の解釈通達で参照される基準に対応しているとは限りません。

第二に、PSE表示は「電気用品安全法上の手続きを経ている」ことを示すものであって、個々の試験項目(伝導妨害波電圧・放射妨害波の測定等)の実施を証明するマークではありません。

したがって「PSE表示があるから雑音規制も満たしている」とは限らない一方で、「PSEとは別の制度として対応すればよい」というのも正確ではありません。省令第十八条への適合を、現行の解釈通達が参照する基準に照らして確認できているかどうかが要点です。

設計変更(LEDドライバ・電源回路の変更等)を行った際に、PSEの技術基準適合とは別に、EMC適合の再評価が必要かどうかを社内の変更管理プロセスに組み込んでおくことが実務上のポイントになります。

PSE制度の基礎的な手続きはPSEとCE安全性認証の違いと取得方法もあわせてご確認ください。

4. 【チェックリスト】CISPR15対応の確認ポイント

自社の照明器具がCISPR 15への対応を要するかどうか、また対応済みかどうかを確認するためのチェックリストです。個別の該当性判断そのものには使えませんが、確認漏れの防止にお役立てください。

表2: CISPR15対応 確認チェックリスト

チェック欄 確認項目 確認先の目安
自社の照明器具(LED照明・蛍光ランプ等)がCISPR 15のスコープに含まれる製品区分か CISPR 15規格の適用範囲の記載
電気用品安全法の技術基準のうち、解釈通達の別表第一〜第十一(国内基準)と別表第十二(国際整合基準)のどちらを適用するか 技術基準省令の解釈通達
電磁妨害(雑音の強さ等)に関する要求事項が自社製品に課されているかどうかの確認先 経済産業省・登録検査機関への確認
自社製品に適用される改正通達と、経過措置(猶予期間)の満了時期 経済産業省・登録検査機関への確認
伝導妨害波(電源線経由のノイズ)の測定要否 CISPR 15規格の該当項目、試験所への確認
放射妨害波(空間へのノイズ)の測定要否 CISPR 15規格の該当項目、試験所への確認
依頼予定の試験所がEMC試験設備(伝導・放射妨害波測定)に対応しているか 試験所への直接確認
輸出先国のEMC制度(例: EU EMC指令、EN 55015等)の該否 輸出先国の規制当局・現地代理店への確認
LEDドライバ・電源回路の設計変更時にEMC再評価が必要かどうか 社内設計変更管理規程、試験所への確認
部材変更・仕様変更時の再試験要否の判断基準 社内変更管理規程、試験所への確認
みなし適合(試験不要)に該当すると判断した場合、その根拠(規格の該当条項・自社製品の回路構成)を文書として記録しているか CISPR 15規格の該当条項、試験所・登録検査機関への確認
海外で取得した試験報告書がある場合、参照規格の版数・測定条件が国内の別表第十二(J55015)の要求に対応しているか 試験所・登録検査機関への確認
技術文書・試験報告書の保管体制(保管期間・保管場所) 社内文書管理規程

5. よくある質問(FAQ)

Q1: CISPR 15と電気用品安全法(PSE)はどちらも対応が必要ですか?

A1: 目的が異なるため、原則として両方の観点からの確認が必要と考えられます。PSEは感電・火災等の安全性、CISPR 15は電磁妨害波(EMC)に関する規制です。ただし日本国内では、照明器具の雑音規制がJ55015としてPSEの技術基準解釈に組み込まれており、経過措置期間を含む移行期にあるため、「PSEとは全く別に対応すればよい」という単純な整理も正確ではありません。自社製品への適用状況は、経済産業省・登録検査機関へ個別に確認することをおすすめします。

Q2: CISPR 15はどの国の照明器具にも適用されますか?

A2: CISPR 15はCISPR(国際無線障害特別委員会)が発行する国際規格ですが、各国・地域での採用形式(強制規格化、自主規制への引用、整合規格としての位置づけ等)は国・地域により異なるとされます。輸出先が複数国にわたる場合は、国・地域ごとに制度の該否を確認する必要があります。

Q3: CISPR 15とVCCI自主規制は同じものですか?

A3: 同じものではありません。VCCI自主規制の対象はマルチメディア機器(情報技術装置・オーディオ装置・ビデオ装置・放送受信機器・娯楽用照明制御装置等)であり、情報技術機能を持たない一般照明用のLED照明・蛍光灯はVCCI自主規制の対象外です。「EMC規制=VCCI」と連想しやすいため、対象範囲の違いを区別しておく必要があります。ただし舞台演出用途や照明制御装置を含む製品については、対象範囲の境界を個別に確認してください(→1.2)。

Q4: EMC試験はどこに依頼すればよいですか?

A4: 伝導妨害波・放射妨害波の測定設備を備えた試験所への依頼が一般的です。依頼予定の試験所がCISPR 15に対応した測定環境を持つかどうかは、事前に直接確認することをおすすめします。測定条件・試験項目の整理でお困りの場合は、記事末のご相談窓口もご利用ください。

6. まとめ

CISPR 15は照明器具の電磁妨害波(EMC)に関する国際規格であり、電気用品安全法(PSE)とは目的が異なりますが、日本国内では両者は無関係に並立しているわけではありません。電気用品安全法の技術基準解釈(別表)に、CISPR 15整合の国内基準J55015が組み込まれており、経過措置期間を含む移行期にあります。一般照明用の照明器具はVCCI自主規制の対象外であり、「EMC=VCCI」という連想は誤解を招きやすい点にも注意が必要です。自社製品への具体的な適用時期・猶予期間・試験要否は、経済産業省・登録検査機関・試験所への個別確認が欠かせません。

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参考文献

  • CISPRJ 15:2017「電気照明及び類似機器の無線妨害波特性の許容値及び測定法」(CISPRJ電波雑音委員会、CISPR 15 Ed.8.0:2013を基に作成)https://www.cisprj.jp/doc/CISPRJ_15_2017.pdf
  • 電気用品の技術上の基準を定める省令 第十八条(雑音の強さ)
  • 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈(通達)別表第十(雑音の強さ)・別表第十二(国際規格等に準拠した基準)(要確認:通達番号・現行版数は未確認)
  • JET NEWS「規格・基準の改正動向 vol.058」(2025年9月、一般財団法人電気安全環境研究所)(登録検査機関による解説記事。通達原文ではありません)https://www.jet.or.jp/common/data/publication/vol.058.pdf
  • 一般財団法人VCCI協会「How to Practice Voluntary Control」(出典は英語ページ)https://www.vcci.jp/english/general/flow.html
  • JIS C 8155「一般照明用LEDモジュール-性能要求事項」(CISPR 15とは対象範囲が異なる別規格)
  • EN 55015(CISPR 15を基とした欧州整合規格、EU EMC指令2014/30/EU関連)(要確認:現行有効性・最新版番号は未確認)

専門用語の解説

用語 意味
CISPR 国際無線障害特別委員会。IEC傘下でEMC(電磁両立性)関連の国際規格を策定する組織
CISPRJ 15 CISPRJ電波雑音委員会が発行するCISPR 15の日本語版規格。電気用品安全法の解釈で参照されるJ55015とは別の文書
EMC(電磁両立性) 機器が、他の機器に許容できない電磁妨害を与えず、かつ自らも電磁環境の中で満足に動作できる能力のこと
EMI(電磁干渉) 電磁妨害によって機器・通信の性能が低下すること。原因側の「電磁妨害(波)」と結果側の「電磁干渉」は本来区別される。伝導・放射の双方の経路を含む
電磁妨害波 機器が発生させる、他の機器・無線通信に影響を及ぼしうる電磁波(ノイズ)の総称
伝導妨害波 電源線等の導体を経由して伝わる電磁妨害波
放射妨害波 空間に放射される形で伝わる電磁妨害波
妨害波電圧 伝導妨害波の大きさを電圧値として測定したもの。CISPR 15では許容値が規定される
EMC指令 EUの電磁両立性に関する指令(2014/30/EU)。CEマーキングの根拠のひとつとされる
整合規格(Harmonized Standard) EU官報(OJ)に参照が公示された欧州規格。当該規格に適合する製品は、対応するEU指令の該当要求事項に適合していると推定される(適合推定)
別表第十 電気用品の技術基準省令の解釈通達のうち、日本独自の系譜にあたる雑音の強さに関する別表。照明器具については順次J55015へ置き換えが進んでいる
別表第十二 同解釈通達のうち、国際規格等に準拠した基準を集約した別表。CISPR等に整合する国内規格(J番号)を収録する
J55015 電気用品の技術基準の解釈 別表第十二に収録される、CISPR 15に整合した国内基準(J規格)の番号。現行版数は本記事では特定していない(要確認)
VCCI 一般財団法人VCCI協会が運営する、マルチメディア機器(MME)を対象とした電磁妨害波の自主規制制度
MME(マルチメディア機器) VCCI自主規制の対象区分。情報技術装置・オーディオ装置・ビデオ装置・放送受信機器・娯楽用照明制御装置等を指す
高周波利用設備 電波法上、通信以外の目的で10キロヘルツ以上の高周波電流を利用する設備(電子レンジ等)を対象とする制度。対象範囲・手続の詳細(許可を要しない場合を含む)は総務省の所管
みなし適合 CISPR 15規格上、特定の構造(電子スイッチング部品を含まない等)の機器について、試験を行わずに適合とみなす扱い

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