旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
この記事の監修
旭光通商株式会社 取締役
山西 幸男
光学技術製品の国際貿易におけるリーディングエキスパートとして、多くの日本企業の海外市場への進出をサポートしてきました。光安全性リスク評価の分野においても深い知識を有し、製品の国際基準適合性を確保するためのコンサルティングサービスを提供しています。
目次
2023年2月にIEC 62471-7:2023(Edition 1.0)が発行されました。本規格は、主に可視放射(380〜780 nm)を放出するLED光源・照明器具(ルミナリー)の光生物学的安全性評価を対象とした特化規格です。
本記事では、照明メーカーの規格対応担当者・品質保証部門・試験機関技術者を対象に、以下の3点を実務視点で整理します。
規格情報のご確認について: 本記事はIEC 62471-7:2023の概要を情報提供目的で解説しています。試験条件の詳細・リスクグループ判定基準・ラベル要件など規格本文に依拠する事項は、IEC Webstoreにて規格本文(有償)をご確認いただくか、認定試験機関にご相談ください。製品への適用判断は個別の仕様・用途によって異なります。
IEC 62471は、ランプおよびランプシステムの光生物学的安全性を評価するための国際規格です。シリーズは複数のパートで構成されており、対象製品や評価目的に応じて使い分ける構成になっています。
主なシリーズ構成(確認済み)は以下のとおりです。
| パート | 正式タイトル(概要) | 発行年 | ステータス |
|---|---|---|---|
| IEC 62471(本体) | 全波長域(200〜3,000 nm)の光源・ランプシステムの光安全性評価 | 2006年 | 有効(Active) |
| IEC TR 62471-2 | 製造要件に関するガイダンス(技術報告書) | 2009年 | 廃止(Withdrawn) |
| IEC TR 62471-3 | 専門施設でのIPL(Intense Pulsed Light)機器の人体への安全使用ガイドライン | 2015年 | 有効 |
| IEC 62471-5 | 画像プロジェクターの光安全性評価 | 2015年 | 有効 |
| IEC 62471-6 | UV-Cランプ製品の光安全性評価 | 2022年 | 有効 |
| IEC 62471-7 | 主に可視放射(380〜780 nm)を発する光源・照明器具の光安全性評価 | 2023年 | 有効 |
IEC 62471シリーズの基礎については、IEC 62471の基礎解説もあわせてご参照ください。
IEC 62471-7:2023の正式タイトルは以下のとおりです(IEC Webstore公式ページより)。
“Photobiological safety of lamps and lamp systems – Part 7: Light sources and luminaires primarily emitting visible radiation”
(ランプおよびランプシステムの光生物学的安全性 第7部:主に可視放射を放出する光源および照明器具)
主な適用対象製品(概説):
本規格は可視域外を主に放射する製品(UV殺菌器、工業用赤外線加熱器など)は対象外とされています。自社製品の適用範囲の詳細については、規格本文のScope(適用範囲条項)の確認を推奨します。
IEC 62471-7は、IEC 62471本体(基本規格)を廃止・置き換えるものではありません。両者は異なる適用範囲をカバーする独立した規格として並存しています。
| 規格 | 対象波長域 | 主な対象製品 | 役割 |
|---|---|---|---|
| IEC 62471:2006(本体) | 200〜3,000 nm | 光源・ランプシステム全般 | 基本規格 |
| IEC 62471-7:2023 | 380〜780 nm(可視域主体) | LED光源・照明器具(ルミナリー) | 可視光特化の詳細規格 |
IEC 62471:2006の現在のステータスは「有効(Active)」(Stability date 2026)であり、IEC 62471-7の発行によって廃止・移行の期限が設定されたという情報はIECから公式に発表されていません。
IEC 62471-7では、可視放射を主体とする照明製品の特性に合わせた試験条件が規定されていると考えられます。具体的な差分(測定距離・積算時間・リスクグループ判定の詳細な閾値等)については、規格本文の確認が必要です。
IEC 62471本体と同様に、リスクグループ分類(Exempt・RG1〜RG3の4段階)の枠組みはIEC 62471-7でも基本的に踏襲されています。
| リスクグループ | 概要 |
|---|---|
| Exempt(RG0) | 10,000秒以上の曝露でも青色光網膜リスクなし |
| RG1(Low Risk) | 100秒以内の曝露でリスクなし |
| RG2(Moderate Risk) | 0.25秒以内の曝露でリスクなし(回避反応以内) |
| RG3(High Risk) | 0.25秒未満でも損傷の恐れ |
IEC 62471-7:2023での具体的な判定基準の詳細については、規格本文での確認が必要です。
まず、自社製品がIEC 62471-7の適用範囲(可視放射を主体とする光源・照明器具)に含まれるかを確認します。
確認のポイント:
適用範囲の判断に迷う場合は、規格本文のScopeを確認するか、試験機関への相談を推奨します。
製品がすでにIEC 62471本体で評価済みの場合、IEC 62471-7での追加評価の要否を確認します。
規格本文または試験機関への確認を推奨する項目:
差分を把握したら、試験機関と連携して対応方針を決定します。
協議事項として考えられる内容:
試験条件や適用規格の確認が必要な場合は、測定相談をご利用ください。
測定相談のご案内
試験対応が確定したら、必要に応じて社内文書を更新します。
更新が必要な文書の例:
| No. | 確認項目 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 自社製品がIEC 62471-7の適用範囲か確認した | 規格本文Scope参照 |
| 2 | IEC 62471-7:2023の規格本文を入手した | IEC Webstore: https://webstore.iec.ch/en/publication/68810 |
| 3 | IEC 62471本体との役割の違いを整理した | 本記事2.1節参照 |
| 4 | 試験条件の差分を把握した | 規格本文参照 |
| 5 | 試験機関のIEC 62471-7対応状況を確認した | — |
| 6 | 既存の試験データの流用可否を判断した | 試験機関と協議 |
| 7 | 追加試験のスケジュールと予算を確保した | — |
| 8 | 社内文書の更新計画を策定した | — |
| 9 | ラベル・表示の変更要否を確認した | リスクグループ変更の場合 |
| 10 | 関係部門(開発・品質・営業)への周知を行った | — |
IEC 62471-7:2023は、主に可視放射(380〜780 nm)を発するLED光源および照明器具(ルミナリー)の光安全性評価を対象とした規格であり、2023年2月に発行されました。IEC 62471本体(基本規格)を置き換えるものではなく、両者は異なるスコープで並存しています。
対応のポイントを整理すると:
試験条件の詳細・リスクグループ判定基準・ラベル要件は として、規格本文または試験機関への確認をお願いします。IEC 62471本体の基礎については、IEC 62471の基礎解説もあわせてご確認ください。
Q1: IEC 62471-7はすべてのLED製品に適用されますか?
IEC 62471-7:2023は、主に可視放射(380〜780 nm)を放出する光源および照明器具(ルミナリー)が対象です。UV殺菌灯や赤外線加熱器など可視域外を主体とする製品は対象外となります。UV-C製品はIEC 62471-6が対応します。自社製品の適用規格の特定には、製品が発する放射の波長域と用途を確認したうえで、試験機関への相談を推奨します。
Q2: IEC 62471-7:2023の発行によって、既存のIEC 62471本体は廃止になりますか?
なりません。IEC 62471:2006(本体)は現在も有効(Active)な規格であり、IEC 62471-7の発行によって廃止・移行の期限が設定されたという公式アナウンスはIECから発表されていません。両者は適用スコープが異なる独立した規格として並存しています。今後の動向については、IEC公式情報を定期的に確認することを推奨します。
Q3: IEC 62471-7対応の試験は、旭光通商で相談できますか?
光安全性評価(IEC 62471シリーズ)に関する測定条件の確認・試験計画のご相談を承っています。IEC 62471-7:2023への対応についても、規格の適用範囲や試験条件の整理からご支援します。まずはお気軽にお問い合わせください。
IEC 62471-7:2023への対応や光安全性評価について、試験条件の確認や測定計画のご相談を承ります。
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